こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8のツルタです。
最近は名古屋・春日井を中心に、AIの活用相談も増えてきました。
さて、Claude公式ガイドを読み解くこのシリーズ。
初回(#1はこちら)ではガイド全体の概要を、
そして昨日の#2では「あなたは〇〇です」でおなじみの“ロールプロンプト”の正体について書きました。
今日はそこからさらに一歩踏み込んで、“AIにちゃんと伝わるプロンプト”を作るための基本中の基本、
「データと指示を分ける」という話をします。
たとえばこんなプロンプト👇
Claudeのガイドの内容でブログを書いてください。Markdown形式で、3000文字以内で。
これ、一見まともそうに見えますが……実はAIからすると「で、どこからどこまでが命令?」状態。
ChatGPTだろうがClaudeだろうが、混ぜこぜにされた指示文はノイズになるんです。
昨日が“人格設定”の話なら、今日は“言葉の整理整頓”の話。
料理でいえば、「ちゃんと材料そろえてから始めようぜ」って話です。
しかもこの記事自体、その「指示とデータを分ける」構造で書かれてます。
後半では、このブログを書くときに実際に使ったプロンプトも公開しますので、お楽しみに。
では今日もいってみましょう。
“ズレるプロンプト”体験コーナー

最近は「AIで商品説明文ぐらいパパッと作っちゃおう」という人が増えました。
……が、そのノリで“全部入りプロンプト”を叩き込むと、大体こうなります。
🧪 Before:よくある“混ぜこぜ”プロンプト
新発売の高級バタークッキーの商品説明文を作成してください。ターゲットは30代女性で、健康志向を意識してください。アレルギー成分は書かないで、カロリーは必ず明記。500文字以内で。HTMLのpタグで出力して。
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一見、“伝えるべきこと”は全部入ってる。
でもAIからすれば、
「で、どれが一番大事?」
「健康志向って、何をアピールしろと?」
「ターゲットって文中に書く? それとも雰囲気だけ?」
「HTMLタグ、全部? それともpタグだけ?」
「アレルギーは無視でいいの?一切書くな?」
「50文字って日本語?英語なら25ワード?」
みたいな“心の声”が大渋滞。
🙈 ありがちな失敗パターン(現場あるある)
- カロリーが抜け落ちる
→「カロリーは必ず」と書いても、AIは途中でスルー。 - 健康志向に触れてない“普通の紹介文”
→「バターのコクが〜」と美味しさアピールだけ。 - なぜか“ターゲット”がそのまま文中に
→「30代女性のあなたにオススメ!」みたいな安直パターン。 - タグが消滅 or 逆に全部タグだらけ
→pタグって言ったのにh2やulまで大盤振る舞い。 - 50文字超え当たり前
→「短すぎて伝わらないので80文字にしました!」とかAIが勝手に忖度。
🤦♂️ 発注者あるあるのセリフ
「いや、カロリーちゃんと入れてって言ったやん…」
「なぜ“アレルギー”をサラッと触れてしまうのか」
「pタグでって頼んだのに、なぜdivタグ…?」
「50文字以内って言ったら、めちゃくちゃ味気ない文章に…」
😇 これ、“AIのせい”じゃありません
本当の原因は「全部1文に混ぜたプロンプト」。 AIは人間ほど文脈を忖度しません。
しかもChatGPTでもClaudeでもGeminiでも、「出力イメージ」「必須要素」「禁止要素」「ターゲット」…全部混ぜると
“どこまで従えばいいの?”問題が発生します。
これが、AIで商品説明を作る現場で“毎日繰り返されてる悲劇”なんです。
「AIって思ったよりアホだな…」
そのセリフ、たぶんプロンプト側の整理不足です。
なぜズレる?「データと指示」分離の理屈(Claude公式ガイドより)

さっきの「ごちゃ混ぜ500文字プロンプト」、
なぜAIが変な商品説明を生み出すのか?
それは――AIが“材料”と“命令”の区別をつけられていないからです。
Claude公式ガイドのChapter 4では、
「AIは、渡された文の中で“何が指示で、何が素材か”を必ずしも人間のように推測できない」
という話が、ものすごく地味に、でも本質的に書かれています。
AIにとっては
- 「健康志向を意識」→文中で強調すべき?それとも全体のトーン?
- 「カロリー必須」→数値を盛り込む?説明だけ?見出し?
- 「pタグで」→全体?部分だけ?他のHTML要素は?
……と、どこまでが“やること”で、どこまでが“材料”かが不明確なプロンプトは、
人間でいえば「口頭で全部まとめて頼まれた発注」と同じ状態。
(しかもAIは“うんうん”ってうなずいても、9割聞き流してるタイプ)
Claudeガイドいわく
“Keep instructions and data separate to avoid confusing the model.”
― Claude Prompt Engineering Guide Chapter 4
訳すと
「命令(Instructions)と材料(Data)を分けないと、AIは混乱しますよ」
……という、ごく当たり前すぎて、なぜか誰も実行していない鉄則。
“分離”して渡すだけで、AIの精度は劇的に変わる
- 命令(Instructions):AIにやらせたいこと・制約・フォーマット・トーンなど
- データ(Data):商品やサービス、素材となる具体的情報
この2つを、はっきり分けて見せるだけ。
それだけで「これを“どう”すればいいのか?」が明確になり、AIは一気に“賢い助手”になるんです。
プロンプトで「どこからどこまでが命令で、どこからが素材か?」
これを分けずに渡すのは、カーナビに「そのへん連れてって」と頼むようなものです。
さて、次は
「分離」してプロンプトを設計したらどう変わるか?
実践テンプレと応用Tipsを見ていきます。
使える!“分離テンプレ”と応用Tips(他AIでもOK)
「結局どう書けば、AIが“イエス・ボス!”って働いてくれるの?」
ここが今回のゴールです。
🎯 分離テンプレの基本形
たったこれだけで、AIの精度が激変します。
### 指示(Instructions)
- 商品説明文を500文字以内で作成してください。
- ターゲットは30代女性。
- 健康志向を意識した内容にしてください。
- カロリーは必ず明記してください。
- アレルギー成分は記載しないでください。
- 出力はHTMLのpタグでお願いします。
### 入力データ(Data)
- 新発売の高級バタークッキー
- バターは北海道産・国産小麦使用
- 保存料・着色料不使用
- サクサク食感と芳醇な香りが特徴
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👀 こう分けるとAIは何が嬉しいのか?
- 「どこまでが材料、どこからが指示か」一目瞭然
- 「健康志向を意識」は“内容”という命令だと理解する
- カロリーとアレルギーに関する優先順位も迷わない
- 出力形式(pタグ)を必ず守る
AIは「曖昧な状況判断」がとにかく苦手。
でも、構造で整理してやると急に“律儀な優等生”に変身します。
🛠 応用Tips|ラベリング&テンプレをさらに使い倒す
1. 独自ラベルでカスタマイズ
ラベル名は自由でOK。
### 出力形式
、### 注意点
、### ターゲット像
など自分用に増やしても効果アリ。- 例:
### 注意点
・売り込みが強すぎないように
・専門用語は使わない
2. 制約事項・禁止事項も分けて明示
曖昧なまま混ぜずに「やってほしいこと/絶対やるな」を分けて伝えるだけで大違い。
3. 他AI(ChatGPT/Geminiなど)でも全く同じ効果
Claudeだけじゃなく、ChatGPTやGeminiにも同じ構造が効きます。
むしろ「指示」「素材」「制約」の区別をはっきり出せるモデルほど、威力倍増。
✨ 使い回し用コピペテンプレ
最後に、どんなAIでも使い回せる“分離テンプレ”を置いておきます。
コピペ→自分仕様にカスタマイズで即効!
### 指示(Instructions)
(AIにやってほしいこと、出力形式、トーン、制約など)
### 入力データ(Data)
(商品やサービス、書いてほしい内容など素材)
### 注意事項・禁止事項(任意)
(やっちゃダメなこと、絶対守ってほしい条件)
### 出力形式(任意)
(Markdown/HTML/表/テキストなど)
“材料と命令の区別”——人間だと当たり前ですが、AI相手にもこの一手間だけで「使えるAI」度が一気に上がります。
まとめ|AIに優しいプロンプト設計こそ、仕事の時短王道
さて、今回は「データと指示は分けろ」という、AI界隈の“地味すぎて誰も守らない超重要ルール”を噛み砕いてきました。
人間相手なら「空気を読む」「文脈を補う」でなんとかなるのに、
AI相手だと“材料”と“やってほしいこと”を一文にぶち込むだけで、
出力がズレたり、迷子になったり、まるで伝言ゲームの負け役みたいな結果に。
でも、テンプレで「指示」「素材」「注意点」だけを分けて書くだけ。
それだけで、ChatGPTだろうがClaudeだろうが、
Geminiだろうが“お利口な小間使い”に変身します。
実はこのブログ自体も、「分離プロンプト」でAIに下書きを出してもらっています。
何が指示で、何が素材か。自分の頭も整理されるので、
“AIに優しいプロンプトは、自分にも優しい”というのが本音。
「AIって使いこなせない」と嘆く前に、
今日紹介したテンプレ、まず一回コピペして自分の仕事で使ってみてください。
明日から“AIの便利さ”が、一段階アップします。
「AIがアホ」って嘆く前に、
まず“自分の指示”を見直してあげて。
シリーズの前回記事も、合わせてどうぞ:
Room8のブログでは、こういうAI活用の“現場ネタ”を毎日発信中です。 引き続きお楽しみに!