「コワーキングって何ですか?」から「AI相談できますか?」まで:11年間の質問の変化

こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!

2014年4月にRoom8を始めてから、もう11年が経ちました。当時を振り返ると、まだ「コワーキング」という言葉すら知らない人がほとんどで、「え?何それ、シェアハウスの仕事版?」みたいな反応が当たり前でした。

ところが最近は、初回の問い合わせで「ChatGPTの使い方教えてもらえますか?」「AIで業務効率化したいんですが…」なんて相談が飛んでくる時代。11年前の僕に「将来、人工知能の相談を受けるようになるよ」って言っても、絶対信じなかったでしょうね。

今日は、この11年間で利用者さんからの「質問」がどう変わってきたかを振り返りながら、地方の働き方がどれだけ変化したかを語ってみたいと思います。そして、質問の変化を見ていると、実は日本の働き方改革の「リアルな進行状況」が手に取るようにわかるんですよ。

Contents
  1. 2014年〜2016年:「わかってる人」だけが集まった秘密基地時代
  2. 2017年〜2019年:働き方改革で「普通の会社員」が来るようになった転換期
  3. 2020年〜2022年:フリーランス→サラリーマンへ、利用者層が大転換した激変期
  4. 2023年〜2025年:ChatGPTの衝撃で僕自身が「AIの人」になった現在
  5. まとめ:11年間の質問変化で見えた「働き方進化」のリアル

2014年〜2016年:「わかってる人」だけが集まった秘密基地時代

実際の店内での質問は意外とマニアック

当時Room8に来る人って、すでに「コワーキング」を知ってる人ばかりでした。だから店内で「コワーキングって何ですか?」なんて聞かれることはほとんどなくて、むしろ

「ここのWi-Fi、上り速度どのくらいですか?」
「プリンターはレーザー?インクジェット?」
「電源の位置、設計図見せてもらえます?」

みたいな、めちゃくちゃ具体的で技術的な質問が多かったんです。

本当の「基本のキ」は外で聞かれた

「コワーキングって何ですか?」は、むしろ街で知人に会った時の定番でした。

「鶴田さん、最近何やってるの?」
「コワーキングスペース始めたんです」
「え?何それ?共働き?」
「いえ、Co-workingで…」

この説明を年間何百回したことか。今思えば、Room8の「外」の方が営業活動してた感ありますね。

来る人は「わかってる」から質問の質が高い

実際に利用してくれる人は、すでにノマドワーカーだったり、フリーランスだったり、「新しい働き方」を模索してる人ばかり。だから質問も:

「集中できる席とコミュニケーション取りやすい席、分かれてます?」
「常連さん同士の交流イベントとかあります?」
「ここで仕事した人同士でコラボとか生まれてます?」

みたいな、めちゃくちゃ本質的なことを聞いてくる。今振り返ると、かなり贅沢な環境でしたね。

2017年〜2019年:働き方改革で「普通の会社員」が来るようになった転換期

「会社員でも使えますか?」

この質問が出始めたのがこの時期です。政府の働き方改革が本格化して、「副業解禁」「テレワーク推進」なんて言葉が踊り始めた頃。

それまでの「フリーランス・ノマド限定感」から、急に「普通の会社員」が興味を持ち始めました。でも、まだ恐る恐るって感じでしたね。

「すみません、私サラリーマンなんですけど、ここ使っても浮かないですか?」

なんて謙虚に聞いてくる人が多くて、「全然大丈夫ですよ!」って答えながら、時代の変化を実感してました。

「副業の相談できますか?」

働き方改革の影響で、副業に関する質問が爆増。でも、この頃の副業相談って:

「何から始めればいいかわからない」
「会社にバレないようにするには?」
「確定申告ってどうするんですか?」

みたいな、超基本的なことばかり。今のような「AIで副業を効率化」なんて発想は皆無でした。

「Slack使ってる人いますか?」

この時期から急にツール系の質問が増えました。ChatworkやSlack、Trelloなんかを「使ってみたいけど一人だと寂しい」って理由で、仲間を探しに来る人が続出。

今思えば、みんな「デジタルツール使えるようになりたい」って意識はあったんですよね。ただ、まだ個人レベルでの活用が中心でした。

「テレワークの練習がしたい」

2019年あたりから、この質問がちらほら出始めました。でも実態は、「会社でテレワーク制度ができたって言うけど、実際はほとんど使われてない」って状況。

「うちの会社も一応テレワークOKになったんですけど、誰も使ってないし、実際どうやればいいかわからなくて…」

みたいな、制度だけ作って放置パターンが大半でした。

一方で、Room8には東京のIT企業に勤めるエンジニアの方が、完全リモートで働きに来てました。その人を見て、他の利用者が「あ、本当にリモートワークって成立するんだ」って驚いてる光景をよく目にしましたね。

つまり、2019年時点では:

  • 建前:「テレワーク推進!」
  • 現実:ほとんどの会社で絵に描いた餅
  • 例外:IT系の一部企業では既に当たり前

って感じで、かなり温度差がありました。地方で「本物のリモートワーカー」を実際に見られる場所って、コワーキング以外になかったかもしれません。

2020年〜2022年:フリーランス→サラリーマンへ、利用者層が大転換した激変期

利用者の大逆転現象

コロナ前(2019年まで)

  • フリーランス・個人事業主:9割
  • 会社員:1割

コロナ後(2020年〜)

  • テレワークのサラリーマン:5割
  • フリーランス・個人事業主:5割

なんと、主要顧客層が完全に入れ替わりました。これは予想してませんでしたね。

「いつものメンバー」が消えた

これまで常連だったフリーランスの方々が、自粛でパタッと来なくなりました。「人との接触を避ける」って流れで、わざわざ外に出て仕事する理由がなくなったんですよね。

一方で、急に「在宅勤務になったけど家だと無理です」って会社員の方がどんどん来るように。それまで接点のなかった業界の人たちが一気に流入してきました。

質問の内容も激変

フリーランス時代の質問
「プリンターの紙、補充してもらえます?」
「領収書、宛名なしでお願いします」
「Wi-Fi、今日調子悪くないですか?」

テレワーク会社員の質問
「Zoomミーティング中、声が漏れませんか?」
「会社の資料、プリントアウトしても大丈夫ですか?」
「セキュリティ的に問題ありませんよね?」

フリーランスは「慣れてる」から質問も実務的。会社員は「初めて」だから、基本的なことから不安になる。同じ空間にいても、求めるものが全然違いました。

【緊急挿入】コロナ禍の大移転劇:2週間で決断した理由

そんな激変の最中、2021年3月にRoom8は大移転を敢行しました。

現在のRoom8があるネクシティパレッタ1階、元々はナフコというスーパーがあった場所なんです。2019年頃から、ナフコ撤退後にカフェなどの飲食店が入る計画が進んでいました。

ところが2020年春、コロナ直撃。飲食店なんて開業してる場合じゃない状況に。

そんな2020年11月頃、商工会議所副会頭で株式会社まちづくり勝川の社長、株式会社水徳の元社長である水野さん(僕らの間では「ボス」)から連絡が。

「鶴田さん、うちに来ない?」

これ、掴むしかないじゃないですか(笑)

問題は資金調達。そんなに儲かってるわけでもないうちが、コロナ禍真っ只中に銀行がお金を貸してくれるはずもなく…

借りましたとも!人脈を使って頭を下げて、「コロナでテレワークが定着する今こそ、コワーキングの時代が来る」って事業の将来性を必死に語りながら。

2週間で300万円調達して、移転決定。今思えば、あの時説得に応じてくれた方々には本当に感謝しかありません。(まだ返済は続いております・・・)

「元に戻るかと思ったら、戻らなかった」

2021年後半あたりから、「そろそろ元の働き方に戻るのかな?」って思ってたんですが、結局戻りませんでした。テレワークが定着して、むしろサラリーマンの利用が安定化。

一方、フリーランスの方は完全に在宅ワークにシフトして、コワーキングを使わなくなった人も多かったです。

この時期の特徴:同じ「リモートワーク」でも、求めるものが正反対

慣れてる人は「集中」「効率」重視。初心者は「安心」「サポート」重視。コワーキングに求められる機能も、この時期に大きく変わりましたね。

2023年〜2025年:ChatGPTの衝撃で僕自身が「AIの人」になった現在

ChatGPTの登場で「これだ!」と確信した瞬間

2022年末のChatGPT登場、あれは本当に衝撃でした。

それまでもAIは話題になってたし、僕自身興味は持ってたんですが、全然身近じゃなかったんですよね。どこか「研究室の中の話」って感じで。

ところがChatGPTが出た瞬間、「これだろ!これからの時代は!!」って確信しました。世界が変わった瞬間でした。

「AIは嘘をつく」→「指示が悪いからだ!」

当初、周りでは「AIは嘘をつく」「全然使えない」っていう声が多かったんです。でも僕は「それは指示が悪いからだ!」って思って、プロンプトエンジニアを目指してひたすら使い倒してました。

どうすれば正確な回答が得られるか、どんな指示の仕方が効果的か、毎日実験の繰り返し。気がついたら、地元でも「AI詳しい人」って認識されるようになってました。

自然とAIコンサルを始めることに

そんな流れで、自然とAIコンサルを始めました。すると、地元の中小企業さんから「Room8でAI相談もやってるらしいよ」って噂が広まって:

「プロンプトの書き方、教えてもらえませんか?」
「うちの会社でAI導入したいんですが、何から始めれば?」
「ChatGPTで業務効率化って、具体的にどうやるんですか?」

みたいな相談が来るようになったんです。

普通のコワーキングスペースで「AI相談」なんてありえないですけど、僕が「AIの人」になったから、自然とそういう相談が集まってきたって感じですね。

地方で見えた「AI格差」のリアル

AIコンサルをやるようになって、地方の中小企業の「AI格差」がよく見えるようになりました:

AI初心者層:「ChatGPTって何ですか?」「危険じゃないんですか?」
AI中級者層:「業務でどう活用すれば?」「費用対効果は?」
AI上級者層:「最新モデルの特徴は?」「GPTsって作れますか?」

同じ地域にいても、知識レベルの差が激しい。そして、その差が確実に仕事の成果に影響してるのを間近で見てるので、結構深刻だと思ってます。

コワーキングとは比較にならない衝撃レベル

「AIやらないとダメですか?」って切実に聞いてくる経営者の方、結構多いんです。これ、11年前の「コワーキングって必要ですか?」と似てるようで、でも全然違うんですよね。

11年前、コワーキングの存在を知った時は「これはすごい、こういう場所が春日井に欲しい」って感じでした。地域レベルでの「あったらいいな」って話。

でもAIは、それを遥かに超える衝撃なんです。「世界が変わる」レベルの話。

コワーキングは「働く場所」を変えただけですが、AIは「働き方そのもの」「思考のプロセス」「ビジネスの根幹」まで変えちゃう可能性がある。しかも、その変化が1年とかの超短期間で起きてる。

地方企業が直面する「時代の分岐点」

だからこそ、「AIやらないとダメですか?」って質問の重みが、11年前とは全然違うんです。コワーキングを知らなくても、別に致命的じゃなかった。でもAIを知らないと、本当に置いていかれる可能性がある。

11年間、働き方の変化を間近で見てきましたが、AIの変化スピードは異常です。のんびり構えてる余裕がないのが、今の時代のリアルですね。

この時期の特徴:文明レベルの変化に戸惑う地方企業

コワーキングは11年かけてゆっくり浸透しましたが、AIは1年で社会を変えちゃいました。その変化の速さとインパクトの大きさに、正直、僕自身も日々驚いてます。

まとめ:11年間の質問変化で見えた「働き方進化」のリアル

振り返ってみると、質問は時代の鏡だった

2014年:「コワーキングって何ですか?」
2025年:「AI相談できますか?」

この11年間の質問の変化を振り返ると、まさに日本の「働き方進化」の歴史そのものでした。

フェーズ1(2014-2016年):わかってる人だけの秘密基地
フェーズ2(2017-2019年):働き方改革で普通の会社員が参入
フェーズ3(2020-2022年):コロナで強制的に全員参加
フェーズ4(2023-2025年):AIで文明レベルの変化

それぞれの時期で、利用者の層も、抱える悩みも、求める解決策も全然違いました。

結局、人は「変化への不安」を相談しに来る

11年間を通して気づいたのは、技術が変わっても、人の本質は変わらないということ。

「コワーキング使っても浮かない?」
「テレワークで会社にバレない?」
「AIやらないとダメ?」

形は違えど、みんな「新しいことへの不安」を相談しに来るんです。Room8は、結果的に「変化への不安を解消する場所」として機能してきたのかもしれません。

次は何が来るのか?

正直、AIの次に何が来るかは想像もつきません。でも、11年間見てきた経験から言えるのは:

  1. 必ず次の変化は来る
  2. 最初は「わかってる人」だけが使う
  3. 徐々に一般化して、最後は強制参加になる
  4. その度に、みんな不安になって相談しに来る

この繰り返しなんでしょうね。

Room8は「働き方の実験場」であり続けたい

春日井という地方都市で、11年間働き方の変化を最前線で見続けてきました。大都市より変化は遅いかもしれませんが、その分「リアルな困りごと」「素朴な疑問」が集まってくる。

次にどんな技術が来ても、どんな働き方が生まれても、Room8は「新しいことに挑戦したい人」「変化に不安を感じる人」が気軽に相談できる場所であり続けたいと思います。

最後に一言

11年前、「こういう場所が春日井に欲しい」って思って始めたRoom8。今では「AI相談もできるコワーキング」として、予想もしなかった進化を遂げました。

でも、根っこの部分は変わってません。「新しい働き方を試したい人を応援する」。これからも、時代の変化と一緒に、Room8も進化し続けていきます。

そして、次に何が来ても、きっとまた「○○って何ですか?」から始まるんでしょうね(笑)

この記事を書いた人

コワーキングスペース 代表 鶴田 賢太

「AI系」起業アドバイザー 鶴田賢太です
春日井・名古屋で コワーキングスペース「Room8」 を運営しながら、起業家をサポートしています。

もともとは 簿記1級 から始まり、ITエンジニア、マーケティング、補助金、財務相談と、いろんな分野を経験してきました。でも、これからの時代は AI。今は 生成AI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)を駆使して、起業を加速させる方法 を探求しています。

Webサイト制作は 100社以上、SEO対策も得意。補助金申請も 15回以上サポート してきました。けど、これからは AIをどう活用するかが、起業の成否を分ける 時代。Room8では、AI活用の相談も大歓迎です。

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