AI活用に必要なのはプログラミングスキルじゃない|問題解決思考と根気で音声請求書を実現した話

こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!

昨日、岩倉商工会青年部さんにお招きいただき、2回目のAIセミナーを開催してきました。参加者の皆さんの表情の変化が面白すぎて(失礼)、これは絶対ブログに書かなきゃと思った次第です。

前回、「ChatGPTってこんなことできますよ〜!」と話したら「おお、すげぇ!」と目を輝かせてくれた皆さん。今回のテーマは——そのAIを”実際にどう業務に使うか?

例えば🧾 音声から請求書(Excel)を自動生成するワークなど、具体的すぎるネタをぶち込んでみたところ……

👨‍💼「う、うーん…なんか一気にハードル上がった気が…」

そう、まさにここなんです。AIの「すごい」と「使える」の間には、想像以上に深い谷があることが、昨日のセミナーで改めて浮き彫りになりました。

でも実は、この谷を埋める方法はそんなに難しくない。ただ、ちょっとした「発想の転換」が必要なだけなんです。

今日はその話をしましょう。

「音声で請求書作成」が生んだ一瞬の興奮

まず最初に、実際にやってみせたのがこれです。

「加藤さんに、300万の車を売ったから請求書を作って」

僕がスマホに向かってこう話しかけると、ChatGPTが音声を認識して、数秒後にはExcelファイルがダウンロードされる。開いてみると、ちゃんとした請求書フォーマットで、宛先は「加藤様」、金額は「¥3,000,000」、品目は「車両販売」、発行日は今日の日付、支払期限は1ヶ月後。

Room8の会社情報、振込先まで全部入ってます。

会場の空気が一変しました。

「えっ、マジで?」
「今の、本当に音声だけで?」
「これ、うちの業務でも使えるじゃん」

前回の「AIすげー」とはまた違った、実用性を感じた瞬間の反応でした。商工会青年部の皆さんは、それぞれ色んな業種の経営者さんたちなので、「これ、自分の会社でも使えそう」という具体的なイメージが湧いたんでしょうね。

ただし、ChatGPTだけでできることには限界もあります。会社のロゴや角印は入れられません。でも基本的な請求書業務なら、これで十分実用的。むしろ、手作業で請求書を作ってる会社にとっては革命的な効率化になります。

「で、これどうやって設定するんですか?」

当然の質問です。ここで僕は、準備していたプロンプトを画面に表示しました。

そして、会場の空気が再び変わりました。今度は別の意味で。

現実という名の冷水を浴びせた瞬間

実は今回のデモ、参加者の皆さんから事前にいただいた要望がベースになってます。

「声で指示を出したら請求書が完成する、みたいなことできませんか?」

で、実際にやってみせた後、こんな反応でした。

「すごい!音声で操作できるんですね!」
「スマホに話しかけるだけで書類ができるなんて!」

みんな「音声」の部分にフォーカスしてる。でも実は、音声入力なんてスマホでもPCでも普通にできる機能です。Siriでもアレクサでも、音声認識自体は当たり前の技術。

重要なのは、そこじゃない。

画面に映し出したのは、先ほど見せてもらったあのプロンプトです。

# --- 請求書テンプレート構造(エクセル出力対応版・ChatGPTへの指示)---
# このテンプレートは「レイアウト・スタイル・構造」および「自社情報・振込先」を含み、
# 宛先・発行日・明細・金額などの内容はチャット指示により動的に入力されるものとする。
# 数式や結合セルは一切使用せず、全ての値はセルに直接記入すること。

# フォント・スタイル定義
font_title = Font(name="游ゴシック", size=18, bold=True)
font_header = Font(name="游ゴシック", size=14, bold=True)
font_base = Font(name="游ゴシック", size=10)
font_bold = Font(name="游ゴシック", size=10, bold=True)
font_total = Font(name="游ゴシック", size=16, bold=True)

align_center = Alignment(horizontal="center", vertical="center")
align_right = Alignment(horizontal="right", vertical="center")

# 列幅設定(A〜F列)
列幅 = {
    "A": 10,
    "B": 20,
    "C": 6,
    "D": 15,
    "E": 15
}
for col, width in 列幅.items():
    ws.column_dimensions[col].width = width
...(以下、延々と続くコード)

…(前の部分は同じ)

会場の雰囲気が、音を立てて変わりました。

「う、うーん…なんか一気にハードル上がった気が…」

そりゃそうです。画面に映っているのは、どう見てもプログラミングのコード。Font(name="游ゴシック")とかws["A1"].valueとか、完全にエンジニアの世界です。

参加者の皆さんの表情が物語ってました。「これ、私たちにもできるの?」「プログラミングの知識が必要ってこと?」そんな不安な気持ちが、顔に書いてある。

そう、本当に重要なのは「音声で指示すること」じゃなくて、「AIに何をどう指示するか」なんです。でもそのプロンプトが、こんな複雑なコードで書かれていたら、そりゃ無理だと思いますよね。

必要なのはスキルじゃない、問題解決思考だ

参加者の皆さんの表情を見て、慌てて補足しました。

「あ、このPythonコードの部分は、別に僕がプログラミングしたわけじゃないですよ。最初はMarkdown形式で作ってたんですが、精度がイマイチだったので、AIにPython形式に変換してもらったんです」

つまり、Pythonコードでビビる必要はありません。 これもAIに書かせることができるんです。

でも実は、本当に重要なのはそこじゃありません。

試行錯誤の始まり

最初からこのプロンプトが完成していたわけじゃないんです。

最初はエクセルファイルを読み込ませて「これと同じようなの作って」とお願いしてたんです。でも、どうしてもズレる。 罫線の位置が微妙に違ったり、会社情報の配置がバラバラだったり。

ここで諦めるか、問題を解決するか。分かれ道です。

問題解決プロセス1:セル指定方式への転換

僕はChatGPTに聞いてみました。「セルの番号を指定して文字を入力することって可能?」

「可能です」

じゃあセル番号を指定できればズレることないよね、と思って、A1、B1、C1…と細かく指定する方式に変更。これは成功しました。

問題解決プロセス2:結合処理の分離

でも次の問題が発生。一気に処理させようとすると、ファイル生成が途中で止まる。

「もしかして結合が邪魔をしてるのでは?」

仮説を立てて、結合を除外して実行してみました。すると、全部出力された!

じゃあ次は、生成が終わったものに対してセルを結合していこう。末尾に結合部分を追加してみました。

問題解決プロセス3:形式の最適化

大体うまくいくんだけど、時々失敗する。

「ということは、AIが認識しづらいことが原因では?」

またも仮説。「もしかしたらMarkdownじゃなくてPython形式で書かせたら、AI読みやすいのでは?」

ChatGPTに「Python風に変換して」とお願いしたら、今のプロンプトが完成しました。

結論:必要だったのは技術力じゃない

これ、プログラミングの知識使ってますか?使ってないですよね。

必要だったのは:

  • 問題を発見する観察力
  • 「なぜだろう?」と考える好奇心
  • 「こうすればどうか?」という仮説思考
  • 「とりあえずやってみよう」という行動力
  • うまくいかなくても続ける根気

AI活用に本当に必要なのは、プログラミングスキルじゃない。問題解決思考と根気なんです。

大きな成功は小さな一歩の積み重ね

セミナーでプロンプト設計の話をした後、「これ、どこから手をつければいいんだろう?」 という雰囲気が会場に漂ってました。

確かに、あの複雑なプロンプトを見せられて「さあ始めてください」と言われても困りますよね。

でも実は、僕も最初から複雑なことをやってたわけじゃありません。

まずは一つの機能から確認してみる

僕が最初にやったのも、実はものすごく小さなことでした。

「指定したセルに文字を入力させることができるか?」

A1だと自動で先頭に入力される可能性もあるから、まずはC5に「テスト」って文字を入れてみる。

できた。

じゃあ次。「位置を変えてもできるか?」

E3に「テスト2」って入れてみる。

これもできた。

次は「複数のセルに同時に入力できるか?」

C5とD2、両方に文字を入れてみる。

これもできた。

一つずつ機能を確認していく

「フォントの指定はできるのかな?」

游ゴシックを指定してみる。フォントサイズも14にしてみる。

できた。

「罫線は?」

セルに枠線をつけてみる。

これもできた。

気づきました?これって、最終的にあの複雑なプロンプトになった機能を、一つ一つ確認してるだけなんです。

小さな積み重ねが大きな成果になる

  • セル指定 ✓
  • 複数セル同時操作 ✓
  • フォント指定 ✓
  • 罫線設定 ✓
  • セル結合… ✓

全部できることがわかったら、あとはこれの組み合わせです。

最初から請求書を完璧に作ろうとしてたら、絶対に挫折してました。でも「C5に文字を入れる」という小さな一歩から始めたから、最終的に音声で請求書を作るところまで到達できた。

あなたの業務でも同じこと

請求書じゃなくても同じです。

見積書を作りたいなら:

  1. まず「A1に会社名を入れられるか?」
  2. 次に「表を作れるか?」
  3. その次に「計算はできるか?」

メール文面を作りたいなら:

  1. まず「挨拶文を作れるか?」
  2. 次に「商品名を入れ替えられるか?」
  3. その次に「相手の名前を変えられるか?」

大きな成功は、小さな一歩の積み重ねです。

完璧を目指さず、まずは「一つだけ」確認してみてください。それができたら、次の「一つ」に進む。

気がついたら、想像もしてなかった場所に到達してますよ。

学びの混乱の先にある「できた!」

岩倉商工会青年部でのセミナーを振り返ると、参加者の皆さんの表情の変化が印象的でした。

最初の「AIすげー!」から、プロンプトを見た時の「これ無理じゃない?」、そして問題解決プロセスを聞いた時の「なるほど、そういうことか」まで。

これこそが学びの本質だと思うんです。

眩しさの後に必ず「混乱」が来る。でもその先にこそ、本当の「できた!」がある。

「俺、AI使えるぜ」に未来はない

よく「私、AIできます」って言う人に会いますが、正直言って心配になります。

本当にAIを活用してる人ほど「まだまだできない」「難しい」って言うんですよね。

ちょっとChatGPTに質問して答えが返ってきただけで「できる」気になってる人は、たぶんダニング=クルーガー効果にハマってます。まず絶望してください。

今回のセミナーで、参加者の皆さんがプロンプトを見て「うわ、これ無理かも」って思ったのは、むしろ良いサインです。現実を知ったってことですから。

AI活用に必要なのは技術力じゃない

本当に必要なのは:

  • 問題を見つける観察力
  • 「なぜ?」「どうすれば?」と考える好奇心
  • 小さな一歩を積み重ねる根気
  • 失敗を楽しむ余裕
  • そして、自分の無知を受け入れる謙虚さ

これって、商工会青年部の皆さんが普段のビジネスでやってることそのものじゃないですか。

次回は実践会をやろうかな

音声で請求書を作るところまでは見せましたが、きっと「自分の業務でどう応用するか」が一番知りたいところですよね。

次回は、参加者の皆さんの実際の業務をベースにした実践会をやってみようかと思ってます。「うちの見積書を音声で作りたい」「定型メールを効率化したい」みたいな具体的な課題を持ち寄って、一緒に解決していく感じで。

AI活用の本当の面白さは、自分の業務に落とし込んだ時に発揮されます。

最後に

学びって、眩しさの後に必ず”混乱”が来る。でもその先にこそ、本当の「できた!」があるんですよね。

今回参加してくださった皆さんも、きっと今は「混乱」の真っ只中だと思います。でも大丈夫。小さな一歩から始めれば、必ず突破できます。

AIを使って、AIを使う時代。 一緒に楽しんでいきましょう。


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この記事を書いた人

コワーキングスペース 代表 鶴田 賢太

「AI系」起業アドバイザー 鶴田賢太です
春日井・名古屋で コワーキングスペース「Room8」 を運営しながら、起業家をサポートしています。

もともとは 簿記1級 から始まり、ITエンジニア、マーケティング、補助金、財務相談と、いろんな分野を経験してきました。でも、これからの時代は AI。今は 生成AI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)を駆使して、起業を加速させる方法 を探求しています。

Webサイト制作は 100社以上、SEO対策も得意。補助金申請も 15回以上サポート してきました。けど、これからは AIをどう活用するかが、起業の成否を分ける 時代。Room8では、AI活用の相談も大歓迎です。

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