こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!
最近、Twitterやnoteでやたらと目にする投稿があります。「Genspark凄い!」「汎用型AIエージェント革命来た!」「これでAI時代の勝ち組確定!」…みたいな感じの。
で、僕も一応AI・DX関連の相談を受ける身として、「へぇ、そんなに凄いなら試してみるか」と思って実際に触ってみたんですよ。
結果?うーん…なんというか、イマイチ。
いや、確かに動くんです。機能もそれなりに。でも「革命!」って騒ぐほどか?と。月額25ドル払ってまで使い続けたいかと言われると…うーん。
で、面白いことに気づいたんです。SNSで絶賛してる人たちの投稿をよく見ると、具体的な活用事例がほとんど書かれてない。「凄い!」「革新的!」「時代が変わった!」みたいな感想文ばっかり。
一方、僕の周りでGensparkを実際に業務で使ってる人…探してみたんですが、いませんでした。
あれ?もしかして、これって「AI最新情報に詳しいですよアピール」のためのツールになってない?
今日はそんな疑問から始まった、GensparkとAI界隈の「見栄と実用性」についてお話しします。
SNSで踊る「Genspark凄い論」の実態
最近のSNS、こんな投稿で溢れてませんか?
「汎用型AIエージェント、ついに実用化!」
「Manus AIを超えた!」
「これで人間の仕事が本格的に自動化される」
いかにも未来感あふれるキーワードのオンパレード。
特に「汎用型AIエージェント」という表現。なんか凄そうじゃないですか?「汎用型」って聞くと、なんでもできる万能AIみたいなイメージが湧いてくる。
実際、僕もこの表現に釣られて試してみた一人です。
でも、ちょっと待って
冷静に投稿を読み返してみると、こんな疑問が浮かんできます:
- 具体的に何がどう凄いのか?
- 実際にどんな業務で使えたのか?
- 従来ツールと比べてどこが優れているのか?
実用的な情報がほとんどないんですよね。
「Sparkpagesが革新的!」って言うけど、要するに検索結果をまとめてくれるページでしょ?確かに便利だけど、革新的かと言われると…
「200以上のタスクを自動化!」って謳ってるけど、じゃあ具体的にどのタスクが実用レベルなの?
一番気になること
こうした絶賛投稿をしてる人たち、本当に継続的にGensparkを使ってるのでしょうか?
投稿の日付を見ると、ほとんどが「試してみた」系の初回レビュー。その後のフォローアップがない。
つまり:
- 話題に乗って一度試してみる
- 「凄い!」って投稿する
- そのまま使わなくなる
…こんなパターンじゃないでしょうか。
実際に使ってみた率直な感想
さて、SNSの盛り上がりに背中を押されて、僕も実際にGensparkを試してみました。
期待値 vs 現実
期待していたこと:
- 「汎用型AIエージェント」による革新的な体験
- 複雑な業務が一瞬で片付く感動
- 月額25ドルを払ってでも手放せないツール
実際はどうだったか:
まず、無料プランで200クレジット/日もらえるので、気軽に試せるのは良い点。Sparkpageという検索まとめ機能も、確かに便利は便利です。
でも…なんというか、**「これ、既存ツールの組み合わせじゃない?」**という感想が拭えない。
例えば:
- 検索まとめ → Perplexityでも似たようなことできる
- 文章生成 → ChatGPTの方が使いやすい
- 画像生成 → DALL-E 3やMidjourneyの方が高品質
- データ分析 → Claude+ファイルアップロードで十分
「手抜きツール」としては確かに機能する
誤解しないでほしいのは、Genspark自体が悪いツールではないということ。
実際、こんな制作物を作ってくれました:
- スライド資料(AI Slidesで自動生成)
- Excel風のデータシート(AI Sheetsで分析付き)
- 競合分析レポート(Sparkpageで情報整理)
- プレゼン用の画像素材
確かに一つのプラットフォームで完結するのは便利。エージェント化されてるから、「スライド作って→データも入れて→画像も生成して」みたいな流れがシームレス。
でも、ちょっと待って…
冷静に考えてみると、これって全部ChatGPTやClaudeでもできませんか?
- スライド作成 → ChatGPTにパワポ形式で出力してもらう
- データ分析 → Claudeにデータアップして分析依頼
- 競合調査 → Geminiの検索機能で十分
- 画像生成 → DALL-E 3がChatGPTに統合済み
確かにGensparkは「エージェント化でシームレス」だけど、御三家の方が圧倒的に精度が高い。
精度の違いが致命的
実際に作り込もうとすると、Gensparkの限界が見えてきます:
- 文章の質 → ChatGPTやClaudeの方が自然で説得力がある
- 分析の深さ → Geminiの多角的視点には及ばない
- 画像のクオリティ → DALL-E 3やMidjourneyには及ばない
「特にこだわりのないものをサクッと作る」には便利かもしれませんが、いつも作り込んでる人には物足りない。
しかも、重要な作業になるほど結局:
- ChatGPTで内容を精査し直す
- Claudeで論理構成を確認する
- Geminiで別角度の意見を聞く
結果的に二度手間になることが多かった。
じゃあ何が違うの?
正直言うと、「新しいことができる」わけじゃないんです。
違いは:
- ワンストップの便利さ → でも慣れたツールの方が早い
- エージェント的な自動化 → でも結果の確認は必要
- 月額25ドルの優越感 → これが一番大きいかも?
「便利だけど、なくても困らない」
これが僕の正直な感想です。
御三家が目指す「知能進化型エージェント」の世界
ここで少し視点を変えて、なぜGensparkに「未来感」が足りないのかを考えてみましょう。
それは、ChatGPT、Claude、Geminiといった御三家が目指している方向と、Gensparkのアプローチが根本的に違うからです。
OpenAIの壮大な5段階ロードマップ
OpenAIは「AGI(汎用人工知能)への道筋」として、こんな5段階を設定しています:
- Chatbots(会話AI) ← クリア済み
- Reasoners(推論AI) ← 今ここに片足突っ込んでる
- Agents(エージェントAI)
- Innovators(革新AI)
- Organizations(組織AI)
要するに、**「知能が高くなれば、自然とエージェント化する」**という発想。
推論能力が人間のPhDレベルになって、そこから複雑なタスクを数日間かけて自律実行できるエージェントへ。最終的には、AI自体が新しいアイデアを生み出す革新者になる。
今のo3モデルが示唆する未来
実際、OpenAIの最新モデルo3は、ARC-AGIベンチマークで**87.5%**というスコアを記録。人間の85%を上回りました。
これは「真の推論能力」の兆候。従来のAIが苦手だった「未知の問題を論理的に解決する」能力が急激に向上している証拠です。
Anthropicの「Constitutional AI」哲学
AnthropicのClaudeは、さらに興味深いアプローチを取っています。
単純に「何でもできるAI」を目指すのではなく、**「人間の価値観と整合した賢いAI」**を作ろうとしている。
Dario Amodei CEOは「2026-2027年にAGIが来る」と予測していますが、彼らが目指すのは**「Expert-Level Science and Engineering」**レベルの知能。
Constitutional AIの革新性
Anthropicの「Constitutional AI」は、AIに「デジタル憲法」のような価値基準を与える手法。
つまり、知能が高くなっても暴走しない、倫理的に行動できるAIを作ろうとしている。
権限さえ与えれば、専門家レベルの判断で自律的に行動できるが、同時に人間の価値観を尊重するAI。
Googleの「なんでも統合」戦略
Geminiは、検索、YouTube、Gmail、Google Workspaceなど、Googleの全サービスと統合することで、**「生活全体のアシスタント」**を目指している。
知能向上 + 既存サービス統合で、ユーザーの日常を丸ごとサポートする世界観。
Gemini 2.0の「思考する」AI
最新のGemini 2.0 Flash Thinkingは、**「思考プロセスを可視化」**する機能を搭載。
単純に答えを出すのではなく、「なぜその結論に至ったか」を段階的に説明できる。これも「真の知能」に向けた大きな一歩。
共通点:「知能ファースト」の思想
御三家に共通するのは、**「知能が高くなれば、あとは権限を付与するだけ」**という考え方。
- 高度な推論能力
- 複雑な問題解決力
- 人間レベルの判断力
これらが備われば、自然とエージェント化し、あらゆるタスクを自律実行できるようになる。
だから彼らは、まず**「とにかく賢いAIを作る」**ことに全力投球している。
なぜこのアプローチに「未来感」があるのか
御三家のアプローチが魅力的なのは、**「想像を超える可能性」**を感じさせるから。
今は会話レベルだけど、いずれ:
- 複雑な研究プロジェクトを数日かけて完遂
- 新しい科学的発見を自ら導出
- 組織レベルの意思決定を自律実行
こんな未来が見えてくる。**「人間を超える可能性」**がワクワクを生む。
Gensparkが選んだ「ツール組み合わせ型」の現実
一方、Gensparkはまったく違うアプローチを取っています。
「知能を高める」のではなく「既存機能を効率的に組み合わせる」。
業務処理の自動化に特化
Gensparkの売り文句を見てみると:
- 「200以上のタスクを自動化」
- 「everyday stuffの効率化」
- 「multi-step tasksをシームレスに処理」
要するに、今ある技術を組み合わせて、面倒な作業を自動化しようという発想。
「エージェント」の定義が違う
御三家が目指す「エージェント」:
- 高度な推論能力を持つ
- 複雑な判断を自律的に行う
- 未知の問題も論理的に解決
Gensparkの「エージェント」:
- 複数のツールを連携させる
- 決められた手順を自動実行
- ユーザーの指示通りに作業を進める
根本的に「エージェント」の概念が違うんです。
なぜ「repackaged functionality」と言われるのか
実際にGensparkを使ってみると分かるのが、**「新しい能力」ではなく「既存能力の組み合わせ」**だということ。
例えば:
- Sparkpages → 検索 + 要約 + レイアウト
- AI Slides → テンプレート + 文章生成 + 画像挿入
- AI Sheets → データ分析 + 可視化 + レポート生成
一つ一つの機能は、既存のAIツールでも実現可能。**Gensparkの価値は「ワンストップ化」**にある。
ワンストップ化の限界
確かに便利ですが、ワンストップ化には致命的な欠点があります:
「すべてがそこそこ」になってしまう
- 検索精度 → Perplexityより劣る
- 文章生成 → ChatGPTより物足りない
- 画像生成 → DALL-E 3より品質が低い
- データ分析 → Claude+ファイルより浅い
専門特化ツールの80%の品質を、120%の価格で提供している感じ。
「効率化ツール」の宿命と可能性
Gensparkのようなアプローチは、実は**「業務効率化ツール」の典型的なパターン**です。
例えば、電話をかける機能。こんな指示ができます:
「3月15日の横浜駅周辺の一番安いホテルを予約しといて」
すると:
- ネットで横浜駅周辺のホテルをリストアップ
- 各ホテルの3月15日の料金を調査
- 安いところから順番に電話をかける
- 空室確認と予約手続きを実行
こういう「面倒だけど誰でもできる作業」には確かに価値がある。
でも「思考を要する作業」では限界が
一方で、深く考え抜いた成果物が必要な場合:
- 戦略的な企画書作成
- 複雑な分析レポート
- クリエイティブな提案
こうした作業では、ChatGPT、Claude、Geminiのどれを使っても、Gensparkより格段に優秀。
Gensparkは「意図が伝わればいいレベル」の作業は得意だが、**「ちゃんと深く考え抜いた生成物」**にこだわると物足りない。
結局:
- 便利だけど、なくても困らない
- 時短効果はあるが、感動は少ない
- 慣れた方法の方が結果的に早い(思考系作業では)
- 価格に見合った価値を感じにくい
「秘書的な雑務処理」には優秀だが、「知的パートナー」ではない。
なぜ「イマイチ感」が生まれるのか
結局、Gensparkに感じる「イマイチ感」の正体は:
- 期待値とのギャップ → 「汎用型エージェント」というワードから想像する未来感との乖離
- 精度の妥協 → 専門ツールより劣る品質への不満
- コスパの微妙さ → 月額25ドルに見合わない価値提供
- 革新性の欠如 → 「新しいことができる」わけではない物足りなさ
「便利だけど、ワクワクしない」
これがGensparkの本質的な問題かもしれません。
「AI詳しいアピール」ツールとしてのGenspark
さて、ここからが本題です。
SNSで「Genspark凄い!」と投稿する人と、実際に業務で継続利用する人の間に、なぜこんなに大きなギャップがあるのか。
「最新AI情報通」マウントの罠
AI界隈には、独特な文化があります。
「いち早く新しいツールを試して、それをSNSで発信することで『情報通』アピールをする」
こんな投稿、見覚えありませんか?
「Genspark試してみた!これは革命的!汎用型AIエージェントの時代が来た!」
「ManusAIを超えた!これでビジネスが変わる!」
「みんなまだChatGPT使ってるの?時代はGensparkだよ」
「体験」より「発信」が目的化
問題は、実際に使い込むより、「試してみた感想」を発信することが目的になってしまっていること。
典型的なパターン:
- 話題のAIツールを発見
- 無料プランで軽く試用
- 「革新的!」「ゲームチェンジャー!」と投稿
- その後は使わなくなる
なぜ継続利用されないのか
実際にRoom8での相談を受けていて感じるのは、多くの人が「AI使ってる感」を求めているということ。
でも業務で本当に必要なのは:
- 確実に動くツール
- 慣れ親しんだインターフェース
- コスパの良いソリューション
Gensparkは「AI使ってる感」は抜群だけど、実用性では既存ツールに劣る。
「見栄」vs「実用性」の分岐点
ここで興味深い分岐が起きます:
見栄を重視する人 → Gensparkのような「最新ツール」を選ぶ 実用性を重視する人 → ChatGPTやClaudeのような「確実なツール」を選ぶ
SNSで盛り上がるのは前者、実際に業務で成果を出すのは後者。
AI界隈特有の「新しもの好き」文化
AI業界には、「常に最新情報をキャッチアップしていないと取り残される」という強迫観念があります。
だから:
- 新しいツールが出ると、とりあえず試す
- 「古いツール使ってる」と思われたくない
- 「情報感度が高い」とアピールしたい
でも、本当に価値があるかどうかの検証は後回し。
本当に必要なのは「AI通アピール」?
Room8での相談者に聞いてみると、多くの人が本音では:
- 「ChatGPTで十分だと思ってる」
- 「でも周りが新しいツール使ってると焦る」
- 「本当は何を使えばいいか分からない」
「AI詳しいアピール」のために、必要以上にツールを試している人が意外と多い。
結局、Gensparkは何のためのツール?
冷静に考えると、Gensparkの主な価値は:
- 雑務の自動化 → 実用的価値(限定的)
- 最新AI体験 → 話題作り価値
- 情報通アピール → 見栄価値
3番目の価値が一番大きいかもしれません。
まとめ:流行りに惑わされない、現実的なAI活用のススメ
さて、長々とGensparkについて語ってきましたが、Gensparkが悪いツールだと言いたいわけではありません。
Gensparkの正しい位置づけ
実際のところ、Gensparkは:
- 雑務処理の自動化 → 確実に価値がある
- ワンストップの便利さ → 一定の需要はある
- AI体験の入門 → 初心者には分かりやすい
問題は、過度な期待値設定と用途の間違い。
「汎用型AIエージェント革命!」みたいな煽りに乗っかって、ChatGPTレベルの知的作業を期待すると、確実にガッカリします。
Room8での相談から見えた「実用的AI活用」
日々のAI・DX相談を受けていて感じるのは、本当に成果を出している人は「地味な使い方」をしているということ。
例えば:
- ChatGPTでメール文章の下書き作成
- Claudeで会議資料の論点整理
- Geminiで競合情報の収集と分析
特別な新しいツールを使うのではなく、定番ツールを業務に深く組み込んでいる。
「AI通アピール」より「業務改善」を
SNSで話題の新しいツールを追いかけるより、今使っているツールを徹底的に使いこなす方が、よっぽど生産性が上がります。
ChatGPT Plus(月額20ドル)を契約して:
- プロンプトの書き方を研究する
- 業務フローに組み込む方法を考える
- チーム内での活用方法を標準化する
この方が、Gensparkに月額25ドル払うより確実に成果が出る。
新しいツールとの正しい付き合い方
もちろん、新しいツールを試すこと自体は悪くありません。
ただし:
- 無料プランで十分検証する
- 既存ツールと比較して明確な優位性があるか確認
- 継続利用の価値があるか冷静に判断
- 「話題性」と「実用性」を混同しない
本当に大切なのは「AI活用の本質」
結局、AIツールは「手段」であって「目的」ではありません。
大切なのは:
- どんな課題を解決したいのか
- どんな成果を求めているのか
- どのツールが最も効率的か
**「最新ツール使ってる感」より「実際の成果」**を重視する。
これが、AI時代を生き抜く現実的なスタンスだと思います。
最後に
GensparkみたいなツールがSNSで話題になるたび、「またか…」と思ってしまう僕は、もしかすると天邪鬼なのかもしれません。
でも、Room8で日々相談を受けていると、**「地に足のついたAI活用」**の方が、長期的には確実に価値を生み出すことを実感します。
流行りのツールに飛びつく前に、まずは手元にある定番ツールを使い倒してみる。
そんな現実主義が、案外一番の近道かもしれませんよ。