こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!
これまでPDRサイクルについて、基本的な考え方と具体的な実践方法をご紹介してきました。シリーズ最後となる今回は、PDRサイクルと他の改善手法を比較しながら、それぞれの特徴や使い分けについて見ていきましょう。
実は、PDRサイクル以外にもPDCAサイクルやOODAループなど、様々な改善手法があります。「似たような手法がたくさんあるけど、どう違うの?」「どんな時にどの手法を使えばいいの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
僕自身、コワーキングスペースの運営を始めた当初は、PDCAサイクルを使っていました。でも、個人事業の規模感や意思決定のスピードを考えると、よりシンプルで素早く回せるPDRサイクルの方が合っているんじゃないか?と気づいたんです。
このように、それぞれの手法には特徴があり、状況に応じた使い分けが重要になってきます。今回は、PDRサイクルと他の代表的な改善手法を比較しながら、それぞれの特徴と使い分けのポイントを詳しく見ていきましょう。
まずは、これまで見てきたPDRサイクルの特徴を簡単に振り返ってみましょう。
PDRサイクルの特徴(復習)

まずは、これまで見てきたPDRサイクルの主な特徴を整理しておきましょう。この特徴を踏まえることで、他の手法との違いがより明確になります。
PDRサイクルの3つの特徴
- シンプルな3ステップ構成
- Prep(準備):目標設定と計画立案
- Do(実行):計画に基づく実践
- Review(振り返り):結果の確認と分析
特にポイントとなるのは、3ステップというシンプルな構造です。実際に前回の記事で見たように、このシンプルさが日々の実践を容易にしています。
- 素早く回せる
- 計画の立案に時間をかけすぎない
- すぐに実行に移れる
- 振り返りを次のアクションにつなげやすい
「春日井 起業」というキーワードでの取り組みでも、素早くサイクルを回し続けることで、80位から5位までの改善を実現できました。
- 個人やスモールビジネスとの相性
- 少人数での意思決定に適している
- 柔軟な対応が可能
- 日常的な業務に組み込みやすい
例えば、ブログの毎日更新のような個人の取り組みでも、無理なく実践できています。
PDRサイクルの実践で重要なポイント
前回までで確認した重要なポイントも、ここで改めて押さえておきましょう:
- Reviewから始められる
- 現状把握から始めることで的確な計画が立てやすい
- 実践的な目標設定につながる
- サイクルは必ず完遂する
- 途中で方向転換せずに最後まで実行
- 結果が悪くても必ずReviewまで行う
- 学びを次のサイクルに活かす
- 生成AIなども活用しながら効率的に進める
- アイデアの展開
- 多角的な視点の獲得
- 実践方法の検討
これらの特徴を踏まえた上で、次は代表的な改善手法の一つである「PDCAサイクル」との違いを見ていきましょう。
PDCAサイクルとの比較
観点 | PDRサイクル | PDCAサイクル |
---|---|---|
ステップ数 | 3ステップ | 4ステップ |
特徴 | シンプルで素早く回せる | 体系的で組織的 |
向いている場面 |
|
|
計画フェーズ | 準備(Prep)は必要最小限 | 計画(Plan)を綿密に |
評価方法 | 振り返り(Review)で次のアクションまで考える | 評価(Check)と改善(Act)を分けて実施 |
ステップ数
PDRサイクル
3ステップ
PDCAサイクル
4ステップ
特徴
PDRサイクル
シンプルで素早く回せる
PDCAサイクル
体系的で組織的
向いている場面
PDRサイクル
- 個人やスモールチームでの活用
- 日常的な改善活動
- 試行錯誤が必要な場面
PDCAサイクル
- 組織的な品質管理
- 業務の標準化
- 長期的なプロジェクト
計画フェーズ
PDRサイクル
準備(Prep)は必要最小限
PDCAサイクル
計画(Plan)を綿密に
評価方法
PDRサイクル
振り返り(Review)で次のアクションまで考える
PDCAサイクル
評価(Check)と改善(Act)を分けて実施
PDCAサイクルは、多くの企業で採用されている代表的な改善手法です。PDRサイクルとの違いを詳しく見ていきましょう。
PDCAサイクルの基本的な考え方
PDCAサイクルは4つのステップで構成されています:
- Plan(計画):目標設定と実行計画の策定
- Do(実行):計画に基づく実施
- Check(評価):結果の検証
- Act(改善):標準化と次サイクルの準備
特徴的なのは、最後のAct(改善)のステップで、成功した取り組みを「標準化」することを重視している点です。
PDRとPDCAの主な違い
- 計画フェーズの違い
- PDCA:綿密な計画(Plan)を重視
- PDR:準備(Prep)は必要最小限に
- 評価と改善の考え方
- PDCA:評価(Check)と改善(Act)を分離
- PDR:振り返り(Review)で次のアクションまで考える
- サイクルの速度
- PDCA:より慎重で体系的
- PDR:より速く、柔軟に
具体例で見る違い
例えば、ブログのSEO対策で考えてみましょう:
PDCAの場合:
Plan:
- 競合分析
- キーワード調査
- コンテンツ計画
- KPI設定
- スケジュール作成
Do:
- 計画に基づく記事作成
- 内部リンク整備
- SNS展開
Check:
- アクセス解析
- 順位変動確認
- KPI達成度確認
Act:
- 成功パターンの文書化
- 次期計画への反映
- 社内共有
PDRの場合:
Prep:
- 現状の順位確認
- 記事テーマ選定
- 構成検討
Do:
- 記事作成と公開
- 関連記事リンク
Review:
- アクセス・順位確認
- 次の改善点検討
それぞれの適性
PDCAサイクルが適している場面:
- 組織的な取り組み
- 品質管理が重要な業務
- 標準化が必要なプロセス
- 長期的なプロジェクト
PDRサイクルが適している場面:
- 個人やスモールチームの業務
- 試行錯誤が必要な施策
- 変化の速い環境での対応
- 日常的な改善活動
つまり、PDCAは組織的な品質管理や業務の標準化に強みを持つ一方、PDRは個人レベルでの素早い改善に適しているといえます。
では次に、もう一つの代表的な意思決定モデルである「OODAループ」との比較を見ていきましょう。
OODAループとの比較
観点 | PDRサイクル | OODAループ |
---|---|---|
目的 | より良くするための改善 | トラブル対応・緊急対応 |
特徴 | 改善を素早く積み重ねる | 状況に応じて即座に判断・対応 |
向いている場面 |
|
|
スピードの質 | 改善を素早く積み重ねるスピード | その場での即断即決のスピード |
経験の活かし方 | 次のサイクルに活かせる | その場での判断材料になる |
目的
PDRサイクル
より良くするための改善
OODAループ
トラブル対応・緊急対応
特徴
PDRサイクル
改善を素早く積み重ねる
OODAループ
状況に応じて即座に判断・対応
向いている場面
PDRサイクル
- サービス品質の向上
- 業務の効率化
- 新しい取り組みの改善
OODAループ
- 予期せぬ問題への対応
- クレーム対応
- 緊急事態への対処
スピードの質
PDRサイクル
改善を素早く積み重ねるスピード
OODAループ
その場での即断即決のスピード
経験の活かし方
PDRサイクル
次のサイクルに活かせる
OODAループ
その場での判断材料になる
OODAループは、PDRサイクルと同様にスピードを重視する改善手法ですが、その目的と使い方が大きく異なります。
PDRサイクルとOODAループの根本的な違い
- PDRサイクル:「より良くするための改善」
- サービスの品質向上
- 業務の効率化
- お客様満足度の向上
- 新しい取り組みの改善
- OODAループ:「トラブル対応」
- 予期せぬ問題への対応
- クレーム対応
- 緊急事態への対処
- 突発的な状況変化への適応
具体例で見る違い
コワーキングスペースの運営を例に見てみましょう:
PDRサイクルの活用場面:
より良くするための改善:
- Wi-Fi環境の向上
- 予約システムの使いやすさ改善
- コミュニティ活性化の取り組み
- 新しいサービスの導入と改善
OODAループの活用場面:
トラブル対応:
- 設備の突発的な故障
- 予約の重複トラブル
- 緊急のクレーム対応
- 急な天候変化による対応
スピードの質が異なる
両者ともスピードが重要ですが、その性質が異なります:
PDRサイクル:
- 改善を素早く積み重ねる
- 次のステップに活かせる
- 経験を蓄積できる
OODAループ:
- その場での即断即決
- 状況に応じた柔軟な対応
- とにかく問題を解決する
それぞれの特徴
PDRサイクル:
- 目標に向かって進められる
- 振り返りから学べる
- 継続的な成長につながる
OODAループ:
- 臨機応変な対応が可能
- 状況判断が重要
- その場での解決を重視
このように、日常的な改善活動にはPDRサイクル、予期せぬトラブル対応にはOODAループ、というように使い分けることで、より効果的な事業運営が可能になります。
では最後に、これらの手法の使い分けについて、まとめていきましょう。
まとめ
3回にわたってPDRサイクルについて見てきました。最後に、PDRサイクルと他の手法の使い分けについて整理しましょう。
状況に応じた手法の選び方
それぞれの手法には、以下のような特徴があります:
PDRサイクル:
- 「より良くするための改善」が目的
- 個人や小規模チームに適している
- 素早く改善を積み重ねられる
- 日常的な業務改善に最適
PDCAサイクル:
- 組織的な改善活動に向いている
- 標準化と品質管理に強み
- より綿密な計画と評価が必要
- 大規模なプロジェクトに適している
OODAループ:
- 「トラブル対応」が得意
- 緊急時の意思決定に強み
- その場での臨機応変な対応
- 予期せぬ事態への対処に最適
PDRサイクルの実践ポイント
このシリーズを通じて見えてきた、PDRサイクルを効果的に活用するポイントは:
- シンプルに始める
- 必要以上に複雑にしない
- できることから着手する
- 小さな改善を積み重ねる
- サイクルは必ず完遂する
- 途中で方向転換しない
- Reviewまでしっかり行う
- 学びを次に活かす
- 状況に応じて使い分ける
- 改善活動はPDR
- トラブル対応はOODA
- 組織的な取り組みはPDCA
これから始める方へ
PDRサイクルは、決して難しい手法ではありません。実際、僕もSEO対策やブログ運営で日々実践しています。
大切なのは、完璧を目指すことではなく、まずは始めてみること。そして、それぞれの状況に応じて適切な手法を選び、柔軟に活用していくことです。
きっと皆さんの業務にも、PDRサイクルが活かせる場面がたくさんあるはずです。ぜひ、この3回のシリーズを参考に、PDRサイクルを実践してみてください。
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