こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!今日は起業時のポジショニングについて話そうと思うんですが、実は僕自身がコワーキングスペース開業時に悩みまくった問題でもあります。
コワーキングスペースをやろうってのは決めてたんですが、「どんな特色にするか」で迷いまくった。色々見学に行くと、ITエンジニア特化もあれば、イベント特化もあるし、ほっこり系もある。みんなそれぞれ個性がある。
で、僕の場合は簿記1級、SE経験6年、営業経験、マーケティングも学んだ…って色んなスキルがあったんです。これをどう活かすか?
そこで気づいたのが「起業支援に特化すればいいじゃん」ってこと。起業するときにホームページ必要でしょ?僕作れるよ。経理も必要でしょ?1級持ってるよ。マーケも学んだし、営業も経験ある。
戦国時代でいえば、根来衆が「僧兵 + 鉄砲」のハイブリッド戦略で成功したみたいに、複数スキルを戦略的に組み合わせたパターンです。
問題は「色々できるから何やろう?」じゃなく、「色々できるのをどう組み合わせるか?」だったんです。
STEP1:戦国時代の「専門バカ」たちはこうして生き残った【基本編】

戦国時代、生き残った集団には共通点がありました。全員が何かしらの「専門バカ」だったことです。
柳生一族:剣術に人生を賭けた一族
柳生一族は大和国柳生の里で、一族全員が剣術修行に明け暮れてました。朝から晩まで剣の稽古、食事の時も剣の話、寝る前も剣の型の研究。
重要なのは「地域ぐるみでの専門化」だったこと。柳生の里では農民も商人も、みんな剣術の基本は身につけてる。つまり村全体が剣術研究所みたいな状態。
結果、徳川家康に見出されて将軍家の指南役に。一芸が家を支えるを体現した成功例です。
伊賀・甲賀:情報戦のプロ集団
一方、伊賀・甲賀は諜報・隠密に特化。山間部の地形を活かして、忍術という独自技術を開発。
彼らの凄さは技術の体系化。ただ隠れるだけじゃなく、情報収集術、暗号技術、薬学、心理術まで全て体系化してマニュアル化してた。現代でいう「業務プロセスの標準化」ですね。
しかも秘匿性を武器にした希少価値戦略。技術を外部に漏らさず、だからこそ高い報酬を得られた。
雑賀衆:新技術導入のプロ
雑賀衆は鉄砲という新技術にいち早く特化。ポルトガルから鉄砲が伝来すると、即座に研究開始。改良に改良を重ねて、日本最強の鉄砲集団に。
彼らの戦略は「技術のオープンソース化」。鉄砲技術を各地に広めることで、自分たちの影響力を拡大。現代のIT企業がオープンソース戦略で市場シェアを取るのと同じ発想です。
村上水軍:地域密着型の専門集団
村上水軍は瀬戸内海の制海権を握った海戦のプロ。潮の流れ、風向き、島々の地形まで全て熟知。
重要なのは「地域特性を活かした専門化」。瀬戸内海という限定的なエリアだからこそ、圧倒的な専門性を築けた。現代でいう「ニッチ市場での圧倒的シェア」戦略です。
現代の「何でもできますアピール」が致命的な理由

ところが多くのの起業家や中小企業は、戦国武将とは真逆の「打ち出し方」をしてる。
典型的な失敗パターン:
- 「Web制作もSEO対策も広告運用もシステム開発も全部やります!」
- 「税務も経営コンサルも補助金申請も何でもお任せ!」
- 「日本料理も中華もイタリアンも作れます!」
これ、能力的には問題ないんですよ。Web会社がSEOできるのは当然だし、税理士が経営の知識あるのも普通。でも「何屋さんか分からない」のが致命的。
高級ブランド戦略に学ぶ「打ち出し方」
シャネルが500円のTシャツを作ろうと思えば作れますよね?でも絶対に作らない。なぜならブランドイメージが崩れるから。
同じように、SEO特化のWeb制作会社が「広告運用もできますよ」って最初から言う必要はない。「SEO特化」で打ち出して、契約後に「広告もできる?」って聞かれたら「もちろんできます」でいい。
戦国武将の打ち出し戦略:
- 柳生:「剣術といえば柳生」の一点突破
- 伊賀:「諜報といえば伊賀」の専門ブランド
- 雑賀:「鉄砲といえば雑賀」の技術ブランド
彼らだって他のこともできたはず。でも「○○といえば」のポジションを確立することを優先した。
「専門化アピール」の3つのメリット
① お客さんが選びやすい
「SEO強いWeb屋さん探してる」→「SEO特化のWeb制作」に即決
② 高単価を維持できる
専門家は一般業者より高い値段をつけられる
③ 口コミされやすい
「SEOなら○○さんが良いよ」って紹介が生まれる
つまり問題は「スキルを広げること」じゃなく、「専門性を打ち出せないこと」だったんです。
STEP2:専門性を確立したら「展開戦略」を選べ【応用編】

さて、専門性を打ち出せるようになったら、次は「その専門性をどう活用するか」の戦略選択です。
戦国時代の専門集団も、ただ専門バカで終わったわけじゃない。専門性を確立した後、それぞれ異なる展開戦略を取ってました。そして戦略選択を間違えた集団は歴史から消えたんです。
現代でも同じ。専門化した後の展開戦略で、その後の成長が決まる。
パターン①:オープン戦略【柳生・雑賀型】
基本思想:技術を公開してブランド価値を高める
柳生一族の戦略:
剣術の技を隠さず、積極的に指導。各地から弟子が集まる→さらに強くなる→評判が広がる→優秀な人材が集まる、の好循環。現代でいう「甲子園強豪校モデル」です。
雑賀衆の戦略:
鉄砲技術を各地に伝授。技術を広めることで影響力を拡大し、最終的に火器のスタンダードを握った。現代の「オープンソース戦略」の元祖。
現代のオープン戦略成功例:
- プログラミングスクール(合格実績を大々的に公開)
- フィットネス系(ビフォーアフターをSNSで拡散)
- 料理教室(完成品をインスタで見せまくり)
- SEOコンサル(ノウハウをブログで公開してブランド化)
オープン戦略向きの業界:
技術公開がブランド価値につながる分野。教育系、クリエイティブ系、技術コンサル系など。
パターン②:クローズド戦略【伊賀・甲賀・村上型】
基本思想:秘匿性こそが競争優位
伊賀・甲賀の戦略:
諜報技術は絶対に外部漏洩させない。弟子募集すら情報漏洩リスクと考える徹底ぶり。だからこそ希少価値を維持して高単価を実現。
村上水軍の戦略:
瀬戸内海の航海術・海戦術を一族内限定で継承。独占的地位を維持することで、通行料という安定収入を確保。
現代のクローズド戦略成功例:
- 政治家御用達料亭(誰が来たかは墓場まで持参)
- VIP向け投資銀行(顧客リスト=最高機密)
- 芸能人御用達美容院(SNS投稿したら即廃業)
- 企業の危機管理コンサル(手法公開したら対策される)
クローズド戦略向きの業界:
情報そのものが価値の分野。セキュリティ、機密情報、VIPサービスなど。
パターン③:リブランド戦略【千利休型】
基本思想:既存分野を再定義して高付加価値化
千利休の戦略:
ただの「お茶飲み」を「茶道という哲学」に再定義。既存の行為に新しい意味づけをして、圧倒的な高付加価値化を実現。
現代のリブランド戦略成功例:
- スターバックス(コーヒーショップ → サードプレイス)
- ライザップ(ジム → 結果にコミット)
- 俺のフレンチ(高級料理 → 立ち食いスタイル)
どの戦略も正解。でも業界特性と合わない戦略を選ぶと即死します。
多くの企業がやらかしてる「戦略逆転」の悲劇

戦国時代の成功例を見ると、現代でも応用できる情報戦略のパターンが見えてきます。もちろん当時も失敗して消えた専門集団は山ほどあったでしょうが、生き残った組織には共通する「情報の使い方」がありました。
現代の情報戦略は「情報の性質」で決まる
現代では情報を2つに分けて考える必要があります:
① 一般化できる知識・ノウハウ → オープン戦略
- SEOの基本テクニック(もうネットにいくらでもある)
- 税務の基礎知識(国税庁サイトで調べられる)
- 業界の一般的動向(誰でもアクセスできる情報)
② 個別案件・顧客情報 → クローズド戦略
- 具体的な企業名を出した事例
- 顧客の内部情報
- 守秘義務のある案件詳細
失敗パターン①:基礎知識を出し惜しみして埋もれる
典型例:ノウハウを隠すSEO会社
「SEOの手法は企業秘密です」って言うけど、基本的なSEO知識なんてもうネットにいくらでもある。Google公式ガイドラインも公開されてるし。
結果:
- ブログも書かない → SEO効果も得られない
- ノウハウも公開しない → 専門性が伝わらない
- 「SEO会社なのにSEO弱くない?」って言われる
柳生宗矩が見たら:「基本の型を隠してたら、誰も弟子になりませんよ」
失敗パターン②:顧客情報をペラペラ公開して炎上
リアル事例:斉藤知事のSNS運用依頼
SNS運用会社が許可なく「斉藤知事から依頼されました」って公表。時の人だから言いたくなる気持ちは分かるけど、顧客名の無断公表は完全にアウト。
他のよくある失敗:
- 「某上場企業のサイト制作しました」(許可なし公表)
- 税理士が「あの会社、実は…」って他の顧客に話す
- 「○○市長の選挙戦略を担当」(政治案件で特にセンシティブ)
服部半蔵が見たら:「依頼主の名前を勝手に明かすとか、忍者失格だ」
失敗パターン③:境界線が曖昧で中途半端
一番多いのがこのパターン:
- 基本知識は出し惜しみ → 専門性をアピールできない
- でも顧客情報は軽々しく話す → 信頼性を失う
結果、「何の専門家かも分からないし、秘密も守れなさそう」という最悪の印象。
戦国時代との決定的な違い
戦国時代は「技術そのもの」が希少だったけど、現代は「基礎情報」はもう希少じゃない。
価値があるのは:
- 応用力・実践力(基礎を使いこなす技術)
- 個別対応力(顧客に合わせたカスタマイズ)
- 信頼関係(機密を守る姿勢)
だからこそ、基礎知識はオープンにして専門性をアピールし、個別案件はクローズドにして信頼を獲得する。この使い分けができない業者は現代では生き残れません。
実体験:ゼネラリストでも「専門化」はできる
実は僕自身、典型的なゼネラリストでした。ITできて、経理できて、補助金書類も作れて、Webマーケ(SEO)もそこそこ…って感じで。
最初は「何で売り出そう?」って迷いまくった。でも気づいたんです。これって戦国時代の「根来衆パターン」じゃんって。
根来衆は僧兵と鉄砲のハイブリッド戦略で成功した。僧侶でありながら武装集団。一見矛盾してるけど、「戦略的に組み合わせた」から強かった。
僕の場合:
- IT × 経理 × 営業 × マーケ = 「起業支援の専門家」
起業するときに必要なスキルを全部持ってるじゃん、って気づいて「起業支援特化のコワーキングスペース」にポジショニング。
ポイントは「組み合わせ方」:
- 単体スキルでは中級者レベル
- でも組み合わせると「起業支援」では唯一無二
- 「何でもできます」→「起業支援なら何でもできます」に変更
ゼネラリストが専門化する3ステップ
① 自分のスキルセットを棚卸し
何ができるかを全部書き出す
② 組み合わせパターンを考える
「A × B × C = ○○特化」を見つける
③ 専門分野として打ち出す
「○○の専門家です」と名乗る勇気
ゼネラリストだからって諦める必要ないんです。組み合わせ方次第で専門家になれる。
戦国時代にも、複数スキルを戦略的に組み合わせて成功した集団はいくらでもありました。
【実践例】根来衆型ハイブリッド戦略の現代版

実は僕自身、典型的な「何でもできるゼネラリスト」でした。IT、経理、補助金申請、Webマーケ(SEO)…色々できるけど、どれで売り出すか迷ってた。
でも根来衆の戦略を参考にして(と言う訳では無いけど)、「起業支援」という一つのターゲットに全てを集約したんです。
根来衆の成功パターン
根来衆は僧兵 + 鉄砲のハイブリッド戦略で成功しました:
① 僧兵の強み
- 信仰心による結束力(死を恐れない戦闘集団)
- 宗教ネットワーク(全国の寺院とのつながり)
- 大義名分(仏法を守るという正当性)
② 鉄砲の強み
- 最新技術への対応力
- 従来の戦術を無効化する破壊力
この組み合わせで、織田信長すら恐れる存在になった。単体では普通の僧兵、普通の鉄砲集団でも、組み合わせることで圧倒的な力を発揮。
現代版:コワーキング × 起業支援戦略
僕の場合も同じ発想でした:
① コワーキングスペースの強み
- 起業家が自然と集まる場
- リアルな相談を受けられる環境
- 起業の現場を知り尽くしている
② 複数スキルの強み
- IT:ホームページ作成、システム相談
- 経理:簿記1級、資金管理アドバイス
- 補助金:申請書類作成サポート
- Webマーケ:SEO、集客戦略
結果:「起業支援の専門家」として特化
バラバラだったスキルが「起業に必要な全てを提供できる」という一つの価値に統合された。
ハイブリッド戦略のポイント
① 共通のターゲットを見つける
- 根来衆:「戦国の世で生き残りたい大名」
- 僕:「起業を成功させたい人」
② 複数の強みが相乗効果を生む組み合わせ
- 根来衆:信仰心 × 最新兵器 = 最強戦闘集団
- 僕:現場経験 × 複数スキル = ワンストップ起業支援
③ 単体では普通、組み合わせで無敵
これが根来衆型ハイブリッド戦略の本質です。
ゼネラリストでも、戦略的な組み合わせで専門家になれる。重要なのは「何でもできます」じゃなく、「誰に向けて、何を提供するか」を明確にすることだったんです。
FAQ
起業時にポジショニング戦略はなぜ重要ですか?
ポジショニング戦略は、他社との差別化を図り、自社の強みを最大限に活かすために重要です。特に起業時には、限られたリソースを効率的に活用し、市場での独自のポジションを確立することが成功の鍵となります。戦国時代の専門集団から学べるポジショニング戦略は何ですか?
戦国時代の専門集団は、特定のスキルや技術に特化することで成功を収めました。例えば、柳生一族は剣術に、伊賀・甲賀は諜報活動に、雑賀衆は鉄砲技術に特化することで、それぞれの分野で圧倒的な専門性を持ち、成功を収めました。現代の起業家が陥りがちなポジショニングの失敗は何ですか?
現代の起業家が陥りがちな失敗は、「何でもできます」というアプローチです。これでは専門性が伝わらず、顧客にとって選びにくい印象を与えてしまいます。特定の分野に特化し、明確なポジションを打ち出すことが重要です。専門化アピールのメリットは何ですか?
専門化アピールには、以下の3つのメリットがあります。1) 顧客が選びやすくなる、2) 高単価を維持できる、3) 口コミされやすくなることです。これにより、ビジネスの成長と利益率の向上が期待できます。どのようにして自分のスキルを起業に活かすことができますか?
自分の持っているスキルを組み合わせて、特定のニーズに応える形で活かすことができます。例えば、簿記、SE経験、営業、マーケティングのスキルを持つ場合、これらを組み合わせて起業支援に特化することで、独自の価値を提供できます。まとめ:現代の「専門バカ」になる勇気を持て

戦国時代の専門集団が400年後も語り継がれる理由、分かりましたか?
彼らは「まず専門化、その後展開戦略」という二段階アプローチを徹底してた。何でもできるゼネラリストより、一点突破のスペシャリストの方が圧倒的に生存率が高かったんです。
現代版「戦国戦略」まとめ
STEP1:専門バカになれ
- 「○○といえばあなた」のポジション確立
- 複数スキルがあっても、まず一つに絞って打ち出す
- 高級ブランドが500円商品を作らないのと同じ理屈
STEP2:展開戦略を選べ
- オープン戦略:基礎知識公開でブランド化(柳生・雑賀型)
- クローズド戦略:機密保持で希少価値維持(伊賀・村上型)
- ハイブリッド戦略:複数スキルを戦略的に組み合わせ(根来衆型)
現代の成功法則:情報を性質で使い分ける
- 一般化できる知識 → 惜しみなく公開
- 個別案件・機密情報 → 徹底的に秘匿
ゼネラリストでも諦めるな
「色々できるけど、どれも中途半端」って悩んでるなら、根来衆戦略を試してください。
重要なのは「誰に向けて、何を提供するか」を明確にすること。バラバラのスキルでも、共通のターゲットが見つかれば、一つの強力な価値に統合できます。
最後に一つだけ
AIが台頭する時代だからこそ、「この人にしかできない」領域を作ることが最強のリスクヘッジ。
戦国武将たちが現代の起業家に一言アドバイスするとしたら、きっとこう言うでしょう:
「迷ってる暇があったら、まず方向性を決めて全振りしろ。専門性は後からついてくる」
さあ、あなたは何の専門家として戦いますか?
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