こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!
最近は春日井・名古屋エリアで「AIをどう活用すれば“面倒な仕事”から解放されるのか?」みたいな相談もよく受けます。ま、みんな本音では“AIに丸投げして楽したい”だけなんですよね(僕もです)。
さて、Anthropic公式プロンプトガイドを読み解くシリーズも、ついに応用・最終ステージ。「複雑なプロンプトの設計法」に入ります。
AIに“ちょっとだけ気の利いたアウトプット”をさせるのは誰でもできる。でも「自分が頭の中でやってるあの複雑な条件分岐」や「一発で全部済ませたいワガママ」をAIに伝えるとなると、途端に迷子。
世の中、“AIの使い方”を語る人は多いですが、「複雑なプロンプトをどう設計するか?」をちゃんと語れる人、どれだけいます?
…そういう“設計力”こそ、AIで差がつく時代です。
「AIに複雑な注文をすると、だいたい雑にまとめて返されてイライラする」——そんな経験、ありませんか?
今日のテーマは、その“モヤモヤ”をスッキリさせるプロンプト設計術です。
Claudeに限らず、ChatGPTもGeminiもCopilotも、“AIに無理難題を押し付けて、ちゃんと返させる方法”を一緒に考えてみましょう。
(Claude使ってなくても読んでOK!実践ネタ満載です。)
「複雑なプロンプト」とは何か?──AIが迷子になる瞬間
公式ガイドによると、“複雑なプロンプト”とは「複数の意図・条件・ルールを組み合わせてAIに伝えたいとき」の注文書みたいなもの。
たとえば——
- “指定した文章スタイル”で
- “このリストの内容”を元に
- “見出し付きMarkdown形式”で
- “箇条書きでまとめて”
みたいな「AもBもCも…」なワガママセットを一度に伝えようとすると、AIはたいてい混乱します。
でも、これって実は人間も同じ。
飲み会で「飲み物は何がいい?あと一人一品頼んで、ついでにみんなの分まとめて会計お願い。あと、二次会の店も探しておいて」と雑にまとめて頼まれたら、だいたい誰かミスりますよね。
AIに「全部やっといて!」と丸投げしたら、“一番雑に解釈した結果”が返ってくる——そんな経験、きっと誰にでもあるはず。
ガイドはこう断言しています。
複雑なプロンプトほど、“分解と順序立て”がカギになる。
つまり、伝えるべきことを小分けにし、整理して順番に指示すること。これが“高精度アウトプット”の第一歩。
ガイドのポイントまとめ
- 分解して整理する
- 伝えたい内容や条件は、タスク単位や要素ごとに細かく分けて伝える。
- いきなり「これ全部やって」ではなく、「まずA、その後B…」と順序を作る。
- テンプレートやリスト形式で明示
- 条件やルールは、箇条書きや表で書き出すとAIが理解しやすい。
- “こういう例・NG例”も一緒に示すと、さらに精度UP。
- 優先順位・制約を明確に
- 「○○が最優先、△△はできれば」など、優先度や譲れない条件はハッキリ明記。
- 出力形式・流れも指定
- 最終出力の“型”や“手順”をできるだけ具体的に伝える。
- 「まずサマリーだけ→OKなら詳細」みたいな“段階分け”も有効。
- 1発勝負じゃなく、やりとり前提で設計
- 複雑なプロンプトは1回で完璧に終わらないのが普通。
- “追加指示”や“修正依頼”を前提に、小分けで進めるのが正攻法。
ざっくり言えば、「AIは“全部まとめて”を一発で理解できるほど賢くはない」。
(ていうか人間だってムリです。)
シンプルな指示でダメなら、“人間が整理して分けてあげる”のが近道です。
複雑なプロンプトの実践例:伝え方でどう変わる?
AIに「Web記事を要約しつつ、SEOキーワードも挿入して、親しみやすいトーンで、見出しも付けて、体験談も必須。しかも禁止事項もあるよ」なんて盛り盛り注文を出したこと、ありませんか?
これだけ条件を並べても、AIは意外とスルーしがち。
特に「禁止事項」や「体験談必須」などは、細かい指示ほど埋もれて無視されやすいのが現実です。
ガイドが勧める“複雑なプロンプト整理法”、実際どう伝え方が違うのか?
以下、同じ課題を3パターンで比較してみます。
例1:箇条書きで条件をまとめる
あなたはSEOライターです。以下の条件を必ず守ってください。
- 元記事を300文字以内に要約する
- 「AI プロンプト設計」というキーワードを最低2回使うこと
- トーンは親しみやすく、初心者向け
- 出力はMarkdown形式(見出し+本文)
- 必ず体験談を1つ入れる
- 禁止事項:「です・ます調」以外はNG/不要な水増し表現はNG
こうして並べても、AIは“禁止事項”や“体験談”をサラッと無視してくる場合も多い。
細かい条件ほど後回し・無視されがちというのが現実です。
例2:段階分けで手順を明示する
1. まず、元記事を300文字以内に要約し、「AI プロンプト設計」というキーワードを2回入れてください(親しみやすいトーンで)。
2. 次に、その要約に体験談を追加してください(Markdownの見出し付きで)。
3. 禁止事項が守られていない場合は「修正案を提案」とだけ出力してください。
- まず、元記事を300文字以内に要約し、「AI プロンプト設計」というキーワードを2回入れてください(親しみやすいトーンで)。
- 次に、その要約に体験談を追加してください(Markdownの見出し付きで)。
- 禁止事項が守られていない場合は「修正案を提案」とだけ出力してください。
“分割・段階指示”はAIのミスを大幅に減らせる定番テクニック。
一発勝負よりも「まずこれ→次にこれ」と分けて伝える方が失敗が少ないのは、人間相手と一緒。
例3:表で条件を整理する
| 項目 | 指示内容 |
|--------------|------------------------------------------------------|
| 役割 | SEOライターとして |
| 要約 | 元記事を300文字以内でまとめる |
| キーワード | 「AI プロンプト設計」を2回以上挿入 |
| トーン | 親しみやすく、初心者向け |
| 出力形式 | Markdown(見出し+本文) |
| 体験談 | 必ず1つ入れる |
| 禁止事項 | 「です・ます調」以外はNG/水増し表現はNG |
条件を表で渡すと、AIの“読み飛ばし”や“解釈ミス”が一気に減るのもガイドで強調されているポイント。
こういう「構造化」こそ、AIには特に効きます。
同じ依頼内容でも、伝え方ひとつでAIの出力結果が大きく変わる。
そして複雑な注文ほど、“丁寧な分割・明示”がAI攻略の近道です。
ありがちな失敗談
- 条件が多すぎて、AIがどれかを無視する
- 禁止事項がスルーされて“無意識の忖度”をかます(例:「できません」と言っちゃう)
- 順番指定しないと、いきなり全要素をぶっこんでカオスになる
核心:無理にひとつにまとめなくていい
ここまで“複数の指示を一つにまとめる複雑なプロンプトの書き方”を色々紹介してきましたが、
実は「全部を一発で押し込まなくてもいい」のが本当のコツです。
AIに「ぜんぶ一度にやって」と頼んでも、たいがい思い通りにならない。
むしろ、タスクごと・条件ごとに段階分けして指示を出すほうが、
- 精度が上がる
- 修正もラク
- “人間のコントロール感”も失われない
ガイドでも「第1フェーズ→第2フェーズ…と分割して進める」設計を一貫して推奨しています。
一発勝負の“パズル”に挑むより、
プロセスを小分けにして着実に仕上げるのが賢い使い方。
「最初から全部やろう」とするより、
“切り分けて投げる勇気”こそが、複雑プロンプトの最強テクです。
深掘りコラム:AIの“律儀すぎるキャラ自己紹介”事故と、その回避策
ここまで「複雑な条件の伝え方」について色々例を挙げてきましたが、
実はプロンプト設計でよくあるのが、“AIが裏方の指示や世界観までも、生成物に律儀に混ぜてしまう”事故です。
本当は「その情報は裏設定・演出メモであって、生成物に出す必要はない」のに、
AIは善意で(?)全部“お客様にも伝えます!”と表に出しがち。
分かりやすい例が「キャラ設定」や「トーン」指示。
たとえばWeb記事の執筆をAIに依頼したとき、
「毒舌キャラで、でも優しさも2割くらい入れてね」と注文すると——
今回は毒舌8割+優しさ2割のバランスでお届けします!
……など、設定や世界観そのものをナレーションし始めます。
(いや、それ裏方でいいから!)
この事故、どう防ぐ?
一番おすすめなのは、表形式で「役割」「トーン」「禁止事項」まで明示するやり方。
項目 | 指示内容 |
---|---|
役割 | 毒舌キャラで |
トーン | 毒舌8割+優しさ2割 |
形式 | 普通のコラム文。キャラ設定や割合を宣言しない |
禁止事項 | 「今回は毒舌8割でお届けします」などキャラ割合の宣言は禁止 |
こうやって“キャラ割合を宣言しないこと自体もルール化”すると、
AIも「これは読者向けじゃなくて舞台裏メモなんだ」と(比較的)理解しやすくなります。
それでもやらかすAIはやらかしますが、仕様書感のある伝え方+明確な禁止事項は、
「余計な自己紹介」回避には一番効きます。
まとめ:AIは“指示の魔物”、伝え方次第で賢くもポンコツにもなる
AIに「複雑な注文」を伝えるのは、一見すると“面倒な作業”に見えるけど、
実は“いかに誤解なく伝えるか”がプロンプト設計の真骨頂。
- 箇条書き、段階分け、表形式……伝え方一つでAIの精度は激変。
- 「禁止事項」も裏方メモも、うっかり混入事故には要注意。
- 本質は“全部をAI任せ”ではなく、「どこまで“人間の整理力”で補助するか」の勝負。
AIは善意の余計なお世話で“世界観バラし”もしてくる。
だからこそ、伝えたい本質と、混ぜてほしくない裏方情報の線引きは人間がコントロールする時代。
「結局、AIを手なずけるには“伝え方チューニング”が一番大事」
——それが、プロンプト設計の最終奥義です。
これまでのシリーズ記事はこちら
- Claude公式プロンプト完全ガイド、読んでみた(序論)
- 明確なプロンプトってどう書くの?曖昧禁止の設計術
- 「あなたは〇〇です」が効く理由とロールプロンプティングの本質
- データと指示は分けろ。ノイズ回避の設計法
- ステップバイステップに考えさせるChain-of-Thought解説
- 例を見せて伝えるFew-Shotプロンプト設計パターン
- ハルシネーションを減らすプロンプト術