令和5年10月から始まるインボイス制度について

こんにちは、Room8の鶴田です。
こう見えても私、簿記の一級まで取得していて経理は意外と得意だったりします。
コツコツ記帳する日常業務が苦手ですが・・・

Room8は、個人事業主やフリーランスなど起業している人が多いのでこう言うネタも突っ込んで起きます。

今回は、来年の10月から始まるインボイス制度について解説をしていきたいと思います!

消費税について

鶴田

今回はインボイス制度について説明しようと思う!
そのインボイス制度を理解するのに必要な、消費税の制度について簡単に

小川君

はい、お願いします!

鶴田

消費税は、皆さんご存じの通り何か物を買うと税金が発生するという制度ですね。

小川君

そうですね!

鶴田

今だと、軽減税率対象の食料品などは8%で、それ以外は10%になっていると思います。

小川君

スーパーのレシートなんかを見ると混在してますね。

鶴田

この記事を見るのは事業者かも知れないので事業者目線で言うと、
何となく購入時には消費税を支払い、販売時には消費税を受け取っていると思います。

小川君

はい、私もそんな感じです。

鶴田

消費税というのは、消費者が負担する税金です。
事業者は、消費税を預かり納付するだけです。

ちょっと分かりづらいのが、商品が消費者の手元に届くまでに色々な業者を経由しますよね?

例えばですが
原材料の業者 → 加工業者 → 流通 → 小売店
みたいな流れを経て、消費者の手元に商品が届きます。

小川君

うんうん

鶴田

この時に
原材料の業者 1,000円 → 加工業者 2,000円 → 流通 3,000円 → 小売店 4,000円

と言う感じで消費者の手元に商品が届いたとき
消費税は、消費者が負担する税金ということで消費税の金額は400円です。

小川君

あれ?でも私達業者も消費税払ってますよ?

鶴田

そうなんです。
その途中の段階でも消費税を取られますよね?
原材料の業者 1,100円 → 加工業者 2,200円 → 流通 3,300円 → 小売店 4,400円

こんな感じになってると思います。

小川君

なってますね!

鶴田

なので、業者は仕入税額控除といって、仕入時に支払った消費税を控除することができる

小川君

んー?例えば?

鶴田

例えば、上記の例で説明すると、各業者が納める消費税はこんな感じになる。

原材料の業者 100円納める
加工業者 100円納めているので流通から貰った200円から100円を引き 100円納める
流通 200円納めているので小売店からもらった300円から200円を引き 100円納める
小売店 300円納めているのでお客様から貰った400円から300円を引き 100円納める
合計で400円を消費税として納める形になります。

これで辻褄が合いますよね?

小川君

あぁ、なるほど!

鶴田

実際には、簡易課税の制度があったり免税事業者などいるのでこの通りではないのですが
原則課税はこれです!

インボイス制度で大きく変わるのが免税事業者

鶴田

小川君は、事業をしているので免税事業者って知ってるよね?

小川君

売上が1,000万に満たない消費税を払わなくても良い業者ですよね!

鶴田

そうそう、それ!
知ってたか(笑)

小川君

ハイ!!

鶴田

これまでその免税事業者は、消費税を消費者からとっても良いが、お国へ納めなくても良いと言う制度だった

小川君

そうでしたね!

鶴田

まあ、これは
消費者には、どの業者が課税事業者か免税事業者か見分けが付かないので、免税事業者でも消費税をとっても分からなかったと言うのと、起業したばかりの業者を保護する目的もあったと言われている。

小川君

なるほど

鶴田

今回のインボイス制度で一番大きく変わるのかここ!

インボイス制度とは、インボイス(適格請求書)を使って正確な適用税率や消費税額を伝えると言う制度。
そして、インボイス制度に届出を出した業者じゃないと、適格請求書は認められないとなっている。

小川君

はい、そうなるとどうなるんですか?

鶴田

これまで課税事業者だった業者は殆ど影響が無いが、問題は免税事業者

消費税を納めない事業者であるため、このインボイス制度に登録することは出来ない事になる。
イヤ違うな、登録することは出来るが売上が1,000万円を超えていなくても、登録をすると課税事業者になる。

小川君

登録しない方が得じゃ無い?

鶴田

問題はここなのだが、例えばウチが車屋さんだったとする、相手は一般消費者もいるが事業者もいるだろう。
するとどうなるのか?

例えば、100万円の車を売った場合、これまで消費税込みで110万円となるわけだが、
これまでは、免税事業者は10万円を利益とすることができた。

しかし、インボイス制度がスタートすると
相手が課税事業者だった場合、「適格請求書」の発行を要求してくる。
そうしないと相手の企業は、仕入税額控除が受けられなくなるからである。

小川君

あぁ、そう言う事か!

鶴田

そう、そうなった時小川君がその業者だったらどうする?

小川君

仕入税額控除が使えないなら、消費税分無くして100万円にして貰いたいですね。

鶴田

そう言ってくる業者も多いだろうね。
他にも、多くの業者と取引しているような企業では、取引業者により処理を変えなくてはいけなくなるため、インボイス制度に登録していないと取引しないと言う可能性もある。

だから、個人事業主泣かせとか言われている。
個人事業主のアドバンテージが無くなった事を意味する。

小川君

うんうん

鶴田

原材料なんて販売していないとと思っている、フリーランスのあなた。
何も仕入税額控除の対象は、原材料だけにとどまりません!

課税仕入れとなる取引には次のようなものがあります。
(1) 商品などの棚卸資産の購入
(2) 原材料等の購入
(3) 機械や建物等のほか、車両や器具備品等の事業用資産の購入または賃借
(4) 広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費などの支払
(5) 事務用品、消耗品、新聞図書などの購入
(6) 修繕費
(7) 外注費

こんな感じで、給料以外の事業活動の殆どが仕入税額控除対象
当然、小川君が作ったアプリ制作の費用もおそらく外注費などで処理されている。
そうすると小川君のアプリを作る時の費用も仕入税額控除の対象となるので、企業は気にする事になる。

取引相手が、一般消費者や免税事業者なら気にしないだろうが、相手が課税事業者だと処理が面倒になるので取引が減るか消費税分の値下を求められる事が予測される。

小川君

なるほど、、、

鶴田

そして、この制度は完全にかたまっていない
通常消費税は掛かるもの

そこに免税事業者が絡むと急に掛からなくなると言う状況が起こる。

上の例で言うと
原材料の業者 1,100円 → 加工業者 2,200円 → 流通 3,300 → 小売店 4,400円
この加工業者が免税事業者だったとする。するとこうだ!

まずは、消費税をゼロにして安くした場合
原材料の業者 1,100円 → 加工業者 2,000円 → 流通 3,300 → 小売店 4,400円

もしこの加工業者が免税事業者だった場合
原材料の業者 加工業者から100円消費税を貰い100円納める
加工業者 免税事業者なので消費税を取らないし納めない
流通 小売店から300円の消費税を貰う、消費税は支払ってないのでそのまま300円納める
小売店 消費者から400円の消費税を貰う、流通へ300円の消費税を支払ってるので差し引き100円納める
合計で500円を消費税として納める形になる。合計の消費税が増えましたよね?

ちなみに、流通業者の支払は、従来は2,200円だったのが2,000円になる200円得する
しかし、消費税100円納めていたのが300円納める事になる200円損する

これでプラマイゼロになる

もし加工業者が免税で2,200円だったとすると
従来と支払う額は変わらないので、損も得もしない
しかし消費税は300円納める事になるので200円損をする

流通は、加工業者が免税事業者であることで200円損をする

だとすると、流通は加工業者に2,000円で販売をするように言ってくる事だろう。

また、全て課税事業者だった場合、消費税の合計額は400円なのに対して免税事業者が加わると500円になる事に気がついただろうか?

この増えた100円は誰が負担するのかというと、免税事業者である加工業者である。
通常課税事業者であれば、仕入税額控除が使えるが、免税事業者ではそれが使えない。

つまり200円値引きすることで、その200円が消費税として納められた事になる。

要するに、取引先が企業で、課税事業者である場合インボイス制度に登録した方が得である。

免税事業者のこれからの選択肢は二つ!

鶴田

これから免税事業者が取れる選択肢を考えてみた
それは、インボイス制度に登録するか登録しないかだ!

インボイス制度に登録する

インボイス制度に登録するメリットは、これまで通りの取引が可能と言う事です。

デメリットは、課税事業者になるので、消費税を支払う必要がでてきます。
簡易課税制度を利用をすれば、サービス業だと「みなし仕入率50%」となり消費税10%の半分の5%を納める事になります。

インボイス制度に登録しない

インボイス制度に登録しないメリットは、免税事業者を選択することが可能

お客さんが、一般消費者であればインボイスに登録せずに免税事業者でいた方が得だと思う

ただし・・・
相手が企業で課税事業者の場合、適格請求書を発行出来ない事が不利になる
取引停止となる可能性があるし、消費税分値引きを要求される可能性がある。

あなたに頼むと、仕入税額控除が使えないから、、、と消費税分の値下げを要求される可能性はある。
10%値下げをするなら、インボイスに登録して簡易課税や仕入税額控除を利用した方が得である。

結論

取引先に課税事業者は殆どおらず、一般消費者や免税事業者しか相手にしないのであればインボイス制度に登録しないという選択肢もありかもしれない。

ただし、課税事業者を相手にするのであれば、インボイス制度に登録しておくのが良いと思う。
課税事業者になっておかないと相手企業は仕入税額控除を使えませんからね。

ちなみにウチは、インボイス制度に登録済みです(笑)
ウチの場合、フリーランスの人が多いので登録していない人は取引禁止!なんて事は言いませんが
その場合、10%とは言いませんが5%程度は値下げをお願いしたいです。

ここまで色々お話してきましたが、スタートすることは決まっておりますが、詳細については曖昧な部分も多いです。
この制度に対するクレームも多いので、今後大きく見直される可能性はあります。
これから私もチェックしておくので、Room8をチェックしといてください。

この記事を書いた人

鶴田 賢太

大学時代、日商簿記の一級まで取得!!
それにより幹部候補だと言われ調子にのって就職するも、パソコンに興味を持ち、これからはITの時代だ!なんて、わずか1年で会社を辞め職業訓練校に通う。
ほんの基礎だけを学び、某大手の富○通のグループ会社で働く、そこも30歳になる頃、富◯通を退職しベンチャーの立ち上げに参加、その後外資系保険会社に転職し、3年後FP事務所を立ち上げ起業
それと同時ぐらいに、コワーキングスペースに魅了され2014年コワーキングスペースを立ち上げ。2015年に一般社団法人春日井起業支援センターを設立し、2016年にはRoom8法人化!
波乱万丈人生を楽しんでます。