人前で話すことが苦手でしたが脳をだましてちょっと克服した方法

苦手だ。考えるだけでとても緊張する。
この苦手意識から逃れることが出来ないだろうか。
好きなことを考えて気を紛らそうか。

私の好きな事をいくつか挙げると、旅行、歴史を知ることラーメンの食べ歩きだ。出かけた場所にあるお城を訪れたり、ご当地ラーメンを食べたりするのが楽しみだ。
好きなことだけでなく、嫌いなことや苦手なこともある。以前の私の大の苦手なことは人前で話すことであった。特に毎月行われる社内会議で人前で報告することはとても嫌だったいつもうまく話せず噛みまくりでしたし、緊張から頭が混乱して何をどう話してよいか分からなくなってしまい、上司からも言いたい事は何か分からないとよく言われた。
失敗せずに話そうと思えば思うほどうまく話せなくなり、余計にプレッシャーを感じるようになっていた。

社内の報告よりも更に恐怖を感じていたのが学会発表だった。実験や測定を行ってデータを纏めながら研究開発を行うことが私の仕事だった。人と話さずに自分の世界の中でもくもくと仕事をすることができるので、私にとっては最適職種だった

ところが、研究者なら一年に一回以上人前で学会発表しなさい、と私にとって地獄のようなノルマを会社から与えられた発表で失敗しないように少しでも重圧の苦痛から逃れるためカンペ用の発表原稿を作ったり事前に何度も練習して準備は万全にしていた。

しかし、発表が始まると極度の緊張からがくがくと震えるし、心臓は破裂しそうなほどバクバクとなる。練習していた内容は一瞬のうちに忘れてしまい、カンペ原稿の文字に目の焦点が合わず見ることが出来なかった。ふと目の前を見ると、大勢の聴講者が私の話にじっと耳を傾けているではないか。周りを敵に取り囲まれ、為す術なく逃げ場を失って孤立した気分に陥っていた。

こんな思いはもう嫌だ、できることなら部署を変わって平穏に仕事をしたいと思いましたが、会社は僕を逃がしてはくれませんでした。人前で話せるようにならないと自分の身が持たない、でもどうやったら克服できるのだろう? 私の大きな悩みとなっていました。

その頃、本屋ではスピリチャル関係の本が並び、私は興味を持つようになり様々な本を読んでいた。特に自分との対話に興味を持つようになり、自分の内面と向き合い対話することによって解決策は出てこないだろうか? と思いチャレンジしてみた

何を悩んでいるんだい
人前で話すことが大の苦手で学会の発表に行きたくないし困っているんだ」
「なぜ苦手なんだろうか?」
「上手く話せるだろうかといつも心配ばかりしているからかも知れない」
「話すことは嫌いなのか?」
「苦手だから嫌と思っているが、気楽に話したいとは思っている」

「では好きなことは?」
「ラーメン食べたり史跡を見たりすることだ」
「今度の学会発表はどこで開催予定?」
「確か小倉の近くだと思う」
「小倉でやってみたい好きなことは?」
「小倉城を見に行って、朝はお城の周りをジョギングしたい。他には九州ラーメン食べたいなあ。時間あれば博多まで足を延ばして食べたい」

「人前で話すことが苦手で学会に行きたくなかったのでは?」
「楽しみがあるとちょっとは気が紛れるかも知れない」

冷静で客観的な自分とそれに答える悩める自分との対話を行なった。この対話で分かったことは、話すこと自体は嫌いではなく上手に話せないから苦手である、その苦手も苦手意識が過剰になっていることに問題があるようであった。

そこで、学会発表が行われる地で自分の好きなことや楽しいことを探し、旅行に行くような計画を立て、学会発表については過度に意識が行かないようにした。
実際の発表は相変わらず凄く緊張し、決して褒められた発表内容ではなかった。しかし、発表をする直前までその後の楽しみへの思いが存在し、これまでのような大きな嫌悪感やプレッシャーを感じることなく発表をすることができたように思った。

この経験をしてから、たかが15分程度の学会発表はどうにか我慢して、その後の楽しみのために学会発表に出かけるのも良いかもしれないと思い始めた。

札幌で学会があるときは札幌ラーメンの食べ歩きにでかけた。大阪で学会があるときは大阪城を観光し、沖縄で学会があるときも率先していくようになった。人前で話すことが得意にはならなかったが、回数を重ねることにより大苦手だったことが、さほど気にならないレベルになっていることに気が付いた。

さらに味を占めた私は、学会参加という旅行先を海外にまで伸ばすようになった。フロリダのディズニーワールドで行われた国際学会に参加し、発表後にディズニーワールドのアトラクションを満喫した。

自分の好きなことやりたいことに焦点を当てて、人前で話すことが苦手だと信じ込んでいた自分の脳を上手くだまし、徐々に苦手を克服することができ人生を楽しむことに繋がったと思う。

この記事を書いた人

たなか あきら

ウェールズ歴史ライター。「歴史が深く素朴で仲間を大切にするウェールズの歴史を知ってもらい」という思いから、ウェールズの歴史を活かしたイベント開催や執筆・講演活動を行っています。
ウェールズに住み歴史を学んだ経験を持ち、モノを売るビジネスマンというキャリアを活かした活動であることも、私の特徴であり強みです。
★執筆、取材のご依頼、お問い合わせは s_takemoto@room8.co.jp まで