こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!
昨日、近所のスーパーで面白い光景を目にしました。なんと、目の前の特売コーナーで、主婦たちが特売の牛肉を奪い合うような状況に…。思わず「これぞまさに小売の戦場だな」と感じた瞬間でした。
実は、この光景は現代の小売業界の縮図とも言えるんです。コンビニの角を曲がれば、また新しいコンビニ。スーパーの隣には必ずと言っていいほどドラッグストア。まるで戦国時代さながらの争いが、私たちの街で日々繰り広げられているんです。
「うちの店、このままじゃ太刀打ちできないかも…」 「大手との価格競争についていけない…」 「商品の差別化って、具体的にどうすればいいの?」
こんな悩みを抱えている小売店オーナーの方も多いのではないでしょうか?
実は、こういった小売業界の競争には、ある「法則」が隠されています。それが今日お話しする「ランチェスター戦略」です。
第二次世界大戦時に、イギリスの数学者フレデリック・ランチェスターが発見したこの法則。なんと、現代の小売業界でも驚くほど当てはまるんです。
今日は、この戦略を小売業で活用する具体的な方法をお話ししていきます。戦国時代の戦術にも通じる面白い話も交えながら、明日からすぐに使える実践的な内容をご紹介していきますよ。
さあ、あなたの店舗を勝ち残らせるための「必勝戦略」を、一緒に学んでいきましょう!
次回は、「小売の戦場を制する者」と題して、市場での立ち位置によって全く異なる戦い方について、お話ししていきます。
小売の戦場を制する者
「石田三成に学ぶ商売の極意」
…と言ったら、みなさん驚かれるかもしれませんね。でも、実は戦国武将たちの戦い方と、現代の小売業での戦い方には、驚くほどの共通点があるんです。
僕が経営コンサルタントとして様々な小売店を見てきた中で、最も印象的だった言葉があります。
「うちは商圏内で3番手だから、1番手の大手スーパーと同じことをしていたら負ける…」
そうなんです。この店主の発言には、実は重要な真理が隠されているんです。
小売業での戦いは、まさに戦国時代の戦さながら。でも、どの武将のように戦うべきかは、その店舗の「市場での立ち位置」によって、がらりと変わってきます。
例えば、信長のような大規模チェーン店は、正面から力比べをする「第二法則」が有効です。大規模な広告展開、豊富な品揃え、価格競争力…まさに「力と力の対決」ですね。
一方、秀吉タイプの中規模店は?実は、局地戦での勝利を積み重ねる戦法が効果的なんです。特定の商品カテゴリーで圧倒的な品揃えを持つ。または、特定のエリアで集中的に店舗展開を行う。秀吉が各地の城を次々と攻略していったように、得意分野から着実に勢力を広げていくわけです。
そして、家康タイプの小規模店。ここで重要なのが「第一法則」、つまり一騎打ちの戦法です。規模は小さくても、専門性や接客の質で勝負する。まさに「一騎打ちの名手」のように、質で勝負するんです。
面白いエピソードをご紹介しましょう。
僕が以前関わった、ある地方の小さな酒屋さん。大手ディスカウントストアの出店で売上が急落したんです。でも、この店主は考えましたね。「相撲で言えば、横綱と同じ土俵で勝負してもしょうがない」と。
そこで、その店主が取った戦略は…なんと「日本酒のソムリエ」になること。地酒の品揃えを徹底的に強化し、一本一本に手書きのPOPを付け、試飲会を定期的に開催。今では、わざわざ遠方から「あの酒屋の◯◯さんに相談したい」とお客さんが訪れる人気店に変わりました。
これぞまさに、家康型の戦い方。正面からの力比べは避け、得意分野で「一騎打ち」を仕掛けた好例と言えますね。
では、あなたの店舗は、信長・秀吉・家康、どのタイプの戦い方が最適なのでしょうか?
次の章では「陣地の取り方・守り方」と題して、それぞれのタイプに合わせた、具体的な店舗展開戦略についてお話ししていきます。これが、実は勝敗の8割を決めると言っても過言ではないんです。
陣地の取り方・守り方
「小売店の出店は、将棋の序盤戦に似ている」
よく先輩経営者からこんな言葉を聞きました。確かに、序盤での陣地の取り方が、その後の展開を大きく左右する…まさにその通りなんです。
ある大手コンビニチェーンの店舗展開を地図で見ると、まるでチェス盤のような規則性があることに気づきます。なぜなら、彼らは「集中出店」という戦略を取っているからです。
これは、ランチェスター戦略でいう「兵力の集中」の原則そのもの。一見、同じエリアに集中出店するのは共食いのように思えますが、実はこれには重要な意味があるんです。
たとえば、僕がコンサルティングしている名古屋のあるドラッグストアチェーン。彼らは、新規エリアに出店する際、必ず3店舗同時にオープンさせます。「なぜ一気に3店舗なんですか?」と尋ねると、店長はにやりと笑って「お客様の記憶に一気に刷り込むためです」と。
実際、データを見ると面白いことがわかります:
- 1店舗だけの出店:認知度30%
- 2店舗同時出店:認知度45%
- 3店舗同時出店:認知度75%
つまり、店舗数を倍にしても認知度は単純計算の2倍には至らない。でも、3店舗同時展開すると、相乗効果で認知度が劇的に上がるんです。これぞまさに、第二法則(集中戦の法則)の効果です。
一方で、専門店など小規模店の場合は、むしろ「独立城郭」のような戦略が有効です。商圏の重なりを避け、それぞれの店舗が「城主」として独自の商圏を守る。これなら、一店舗一店舗の収益性を最大化できます。
重要なのは、自分の規模や業態に合った「陣地の取り方」を選ぶこと。大手のマネをして無理な出店を続けると、戦国大名の「無理な遠征」と同じ末路をたどることになりかねません。
では次は、確保した陣地(商圏)で、どんな「武器」(商品)を揃えるべきか。「最強の武器を揃える」として、商品構成戦略についてお話ししていきましょう。
最強の武器を揃える
「商品構成の話なんて、棚に商品を並べるだけでしょう?」
…実はこれ、とある経営者との会話で実際に出た言葉なんです。でも、これほど危険な考え方はありません。商品構成は、まさに武将の「武器選び」と同じくらい重要な戦略なんです。
思い出してください。織田信長が革新的な鉄砲隊を編成し、戦国の常識を覆したように、商品構成も「常識を覆す」ことで劇的な結果を生み出すことがあります。
実例をお話ししましょう。
僕が支援している大阪の日用品店。大手ドラッグストアの出店ラッシュで売上が落ち込んでいました。そんな時、店長が面白いことに気づいたんです。
「うちの店の前、毎朝お年寄りが通るんだよね…」
これをヒントに、店内の通路幅を広げ、商品を手の届きやすい高さに変更。さらに、お年寄りに人気の商品を「ついで買い」しやすい位置に移動させました。
結果?なんと売上が1.5倍に。「品揃えは負けても、買いやすさでは負けない」。この逆転の発想が功を奏したんです。
もう一つ、秘密の武器があります。それが「PB商品(プライベートブランド)」という独自の武器開発です。
ここで使えるのが「郵便局の法則」。実は郵便局って、どんな田舎にも必ずありますよね?これと同じで、「どの店にもある当たり前の商品」は、実は利益を生みにくいんです。むしろ、「うちにしかない」商品を持つことが重要なんです。
例えば、ある地方のスーパーマーケット。地元の農家と組んで「その日の朝採れ野菜コーナー」を作りました。確かに品揃えは大手に負けます。でも、「鮮度」という武器では、誰にも負けない。これぞ、現代版の「武器の革新」というわけです。
ただし、注意点もあります。新商品や目玉商品に気を取られすぎて、基本の品揃えがおろそかになることです。これは、武将で言えば「派手な武器に目を奪われて、基本の装備を忘れる」ようなもの。致命的な失敗につながりかねません。
重要なのは、「誰のための、何のための品揃えか」を常に考えること。これさえ忘れなければ、おのずと最適な「武器」が見えてくるはずです。
敵を知り己を知る
「百戦百勝とは、善の善なる者にあらず。戦わずして勝つ者は、善の善なる者なり」
『孫子』のこの言葉、実は現代の小売業にも完璧に当てはまるんです。
先日、あるコンビニオーナーから面白い相談を受けました。 「近所にまた競合店が出店するんです。値下げで対抗しようと思うんですが…」
ここでちょっと待った!実は、こういう「取り急ぎの対抗値下げ」こそ、最も危険な対応なんです。まるで、敵の挑発に乗って無計画に戦場に飛び出すようなもの。
では、どうすればいいのか?
ここで使えるのが「諜報活動」、つまり競合分析です。でも、ただ競合店を見に行くだけじゃダメ。本当に見るべきは「お客様の行動」なんです。
例えば、とある食品スーパー。競合店の出店で客数が減ると思いきや、なぜか夕方以降の売上が増えたそうです。理由を調べてみると…
「競合店、夕方になると品切れが多いみたいですね」 「うちは地元だから、仕入れのタイミングを細かく調整できる」
このスーパー、即座に夕方の品揃えを強化。「夕方でも品揃え豊富!」と打ち出したところ、競合店から客足が戻ってきたそうです。
面白いでしょう?「敵の弱点」を見つけ出し、そこを突く。これぞ、戦わずして勝つ戦略なんです。
でも、ここで一番大切なのは「自店の強みを知ること」。
あるお菓子屋さんの話です。大手菓子店の進出で売上が落ち込み、価格競争に巻き込まれそうになった時、店主が始めたのは…なんと「お菓子作り教室」。「うちには50年の技術の蓄積がある。これこそ最大の強みだ」と気づいたんです。
結果、教室の生徒が固定客になり、口コミで評判が広がり、観光客も訪れるように。売上は見事V字回復を遂げました。
このように、競合対策の本質は「敵に振り回されない、自分の強みを活かした戦い方」を見つけること。ランチェスター戦略で言う「一騎打ちの法則」と「集中戦の法則」も、結局はこれに行き着くんです。
「でも、うちに強みなんてあるのかな…」
そう思った方こそ、実は大きな強みを持っているかもしれません。なぜなら、謙虚な姿勢こそ、お客様の声に耳を傾け、新しい強みを発見するチャンスを生むからです。
さあ、ここまで「戦場を制する者」から「敵を知り己を知る」まで、小売業で勝ち残るための戦略をお話ししてきました。最後は、これらの学びを実践に移すための具体的なステップについて、まとめていきましょう。
まとめ:明日からできる必勝戦略の実践法
「では結局、何から始めればいいんですか?」
これは、僕がよく受ける質問です。確かに、ここまでお話しした戦略は、一朝一夕には実現できないかもしれません。でも、明日から始められることはたくさんあるんです。
まずは、自分の店舗の「立ち位置」を正直に見つめ直してみましょう。信長なのか、秀吉なのか、家康なのか。
あるコンビニオーナーは、こんなことを言っていました。 「個人経営の小さな店だからこそ、常連さんの名前を覚えられる。これって、実は最強の武器かもしれない」
そうなんです。規模が小さいことは、必ずしもデメリットではありません。
では、明日から実践できる「三つの必勝法」をお伝えします:
- 「情報収集の習慣化」 毎日15分、お客様の買い物かごの中身をチェックしてみてください。「なぜこの組み合わせ?」と考えるだけで、新しい気づきが生まれます。
- 「小さな差別化」の積み重ね 商品の並べ方を変えるだけでも、お客様の購買行動は変わります。今日から一週間、毎日一つの商品の位置を変えてみましょう。その反応を見るだけでも、多くの学びがあるはずです。
- 「強みの見える化」 お客様から「ここが良いね」と言われたことを、必ずメモしておく。些細なことでもいいんです。これが、将来の戦略の核になっていきます。
ランチェスター戦略の本質は、実は「自分らしい戦い方を見つけること」。完璧な戦略を立てることより、一歩一歩実践していくことの方が大切なんです。
最後に、ある成功店舗の店主の言葉を紹介して、このシリーズを締めくくりたいと思います:
「商売って、結局は人と人。難しい戦略も大事だけど、まずは目の前のお客様のために、自分にできることから始める。それが、長い目で見た勝ち方なんじゃないかな」
シンプルだけど、深い言葉ですよね。
みなさんの店舗が、「自分らしい強さ」を見つけ、実践していけることを願っています。そして、またどこかで、みなさんの成功事例をお聞かせいただければ嬉しいです。
今日は長い間、ありがとうございました!