こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!ランチェスター戦略を参考にサービスラインの見直しについてお話しします。
「何から説明すれば良いんだろう…」
これは、以前の私がお客様との商談時によく感じていた不安です。当時のRoom8は、様々なニーズに応えようとするあまり、プラン体系が複雑化してしまっていました。説明資料は分厚くなる一方で、かえってお客様の理解を妨げているように感じていたのです。今日は、そんな状況から、どのようにしてサービスラインを整理し、お客様にとっても運営する側にとっても「分かりやすい」形に変革できたのか、その過程をお話ししていきます。
深刻化していた「サービス複雑化」の問題
中小企業庁の経営計画・経営革新でも指摘されているように、小規模事業者にとって、サービスの整理と選択は重要な経営課題です。私たちも、まさにその課題に直面していました。
お客様との商談でよく起こっていた光景
「では、プランの説明をさせていただきます。まず基本プランがありまして、そこにオプションを…」
私の説明が進むにつれて、お客様の表情が曇っていくのが分かりました。20分以上かけて説明しても、結局「少し考えさせてください」と言って帰られてしまう。これが当時の典型的なパターンでした。
スタッフも苦労していた状況
新しいスタッフの育成も大きな課題でした。
「このプランとこのプランの違いは、使える時間帯と、あと確か…」
スタッフ自身が自信を持って説明できないため、お客様に不安を与えてしまうことも。プラン表を見ながらの説明が当たり前となり、お客様との自然な会話が失われていました。
転機となった、あるお客様との会話
ある日、こんな出来事がありました。
「すみません、私が聞きたいのは『事業用の住所が必要かどうか』だけなんですが…」
資料を広げながら一通りの説明をしようとしていた私は、ハッとしました。お客様が知りたいのは、ご自身のニーズに合ったプランがあるかどうか。なのに私は、全てのプランを説明することが「親切」だと思い込んでいたのです。
気づきから生まれた新しいアプローチ
この経験から、お客様との対話の仕方を180度変えることにしました。
以前の流れ:
- 全プランの概要説明(15分)
- 料金体系の説明(10分)
- オプションの説明(10分)
- お客様からの質問対応
新しい流れ:
- お客様のニーズをお聞きする(2分)
- 最適なプランのご提案(3分)
- 具体的な利用イメージの共有(3分)
- 即断即決が可能に
生まれ変わった3つのプラン体系
現在のRoom8では、お客様のニーズに応じて3つの明確なプランをご用意しています。
1. 事業拠点として活用できるシェアオフィスプラン(キャンペーン実施中)
「起業したいけど、自宅住所は使いたくない…」
「来客対応ができる場所が欲しい…」
そんな声から生まれたプランです。事業用住所としての利用や来客対応など、ビジネスの基盤として必要な機能を全て揃えました。
2. 集中作業向けのコワーキングスペースプラン(キャンペーン実施中)
「カフェだと落ち着かないけど、オフィスは必要ない…」
「時々集中して作業できる場所が欲しい…」
純粋に作業場所として利用したい方向けに、必要な機能だけをシンプルにまとめました。
3. 気軽に利用できるドロップインプラン
「今日だけ使いたい」
「試しに利用してみたい」
予約不要で、必要な時だけ気軽に利用できるプランです。
変化がもたらした具体的な効果
お客様とのコミュニケーションの変化
以前:
「まずは全プランの説明からさせていただきます…」
(20分後)「すみません、ちょっと複雑で…」
現在:
「どのような使い方をお考えですか?」
「事業用の住所が必要なんです」
「では、シェアオフィスプランがぴったりですね」
数字で見る改善効果
- 説明時間:20分以上 → 5分程度に短縮
- 初回面談での決定率が大幅に向上
- スタッフの研修期間も半分以下に
- お客様からの問い合わせ対応もスムーズに
サービスライン見直しから学んだ教訓
1. お客様目線の重要性
「私たちは何を提供できるか」ではなく、「お客様は何を求めているか」を起点に考えることで、自然とサービスがシンプルになっていきました。
2. 「引き算」の価値
全てのニーズに応えようとするのではなく、あえて対象を絞ることで、かえってサービスの価値が明確になりました。
3. コミュニケーションの質的変化
プランを説明する時間が減った分、お客様の具体的なニーズや課題についてより深い対話ができるようになりました。
他業種での応用事例
Room8には様々な業種の事業者の方が集まっています。その中で、同じようにサービスの見直しに取り組んだ方々の事例をいくつかご紹介します。
Webデザイン事業を営むAさんの場合
以前は「何でもできます」という売り方をしていましたが、「プロフィールサイト特化」という形に絞り込むことで、逆に依頼が増えたそうです。
士業を営むBさんの場合
複数のメニューを用意していましたが、「創業支援」に特化することで、より具体的な提案ができるようになったとのこと。
実践のためのステップ
Step 1:現状把握
まずは、現在のサービスや商品がお客様にどのように理解されているのか、率直な声を集めることから始めましょう。
Step 2:ニーズの分類
集めた声を整理し、本質的なニーズがどこにあるのかを見極めます。
Step 3:大胆な整理
類似のサービスは統合し、本質的でないものは思い切って削除します。
Step 4:シンプルな説明方法の確立
誰が説明しても同じように伝えられる、シンプルな説明の仕方を確立します。
新たな視点を得るためのヒント
実は、Room8のメンバーの中には、ここで働きながら自身のビジネスのサービス改善に取り組まれている方も多くいらっしゃいます。毎日の何気ない会話の中で生まれるアイデアや、業種を超えた視点の交換が、新たな気づきをもたらしているようです。
コワーキングスペースならではの、この「学び合いの環境」が、サービス改善のヒントを見つけるきっかけになっているようです。
今後の展望:さらなる改善に向けて
サービスラインの見直しは、一度行って終わりではありません。私たちも、より良い形を目指して日々改善を重ねています。
「自分のサービスも整理したいけど、なかなか一歩を踏み出せない…」
そんな方は、まずコワーキングスペースプランで、実際の環境を体験してみませんか?同じように課題を持つ仲間との出会いが、きっと新しい視点をもたらしてくれるはずです。
次回は、競合分析におけるランチェスター戦略の活用について、より具体的にお話ししていきます。お楽しみに!