こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!今回はマーケティングの本質についてお話ししたいと思います。
10年以上、起業相談を受けてきて、ある共通の悩みに気づきました。それは:
「マーケティングの勉強をしているんですが、なかなか成果が出なくて…」
「SNSの運用やWeb広告について学んでいるんですけど、どうもしっくりこなくて…」
という声です。時代とともにツールは変わっても、この本質的な悩みは変わっていません。
実は、これらの悩みの根本には共通の課題があるんです。それは「なぜ」という部分が曖昧なまま、「どうやって」に走ってしまっているということ。今日は、表面的なマーケティング手法の話ではなく、その前に考えるべき大切なことについてお話しします。
マーケティングの前に、まず目的が見えていますか?
多くの方が「起業すること」自体を目的にしてしまいがちです。Simon Sinekが指摘しているように、成功するビジネスには必ず明確な「なぜ」があります。確かに、独立して自分の事業を持つことは素晴らしい選択肢の一つです。でも、それは本当の目的なのでしょうか?
例えば、先日Room8に相談に来られたAさん(30代・女性)は、ウェブデザインのスキルを活かして起業しようとしていました。でも、なかなかクライアントが見つからず悩んでいたんです。
話を聞いていくと、実はAさんの本当の想いは「地域の小さなお店をもっと素敵に見せたい」という思いだったことが分かりました。これこそが彼女の「Why」だったんです。この明確な目的意識があることで、その後のマーケティング戦略や具体的なアクションプランも自然と見えてきました。
「とりあえず」の罠から抜け出す
「自分のスキルを活かして起業したい」
これは、とてもよく聞く言葉です。でも、実はここに大きな落とし穴が隠れています。
実際にRoom8で相談を受けた例を紹介させてください:
Aさん(20代後半・男性)は、優秀なプログラマーでした。Webサイトの制作はもちろん、アプリの開発やシステム構築まで、技術的にはかなり高いレベルを持っていました。その技術力を活かして起業しようと考えたのです。
しかし、「何がしたいか」という明確な目的を持たないまま、できることは何でもやる「何でも屋さん」として始めてしまい、効果的なマーケティングもできない状況でした。人当たりの良い性格で、知り合った方から仕事を得ることはできましたが、それは安定せず、事業として成長していく手応えも感じられない状況でした。
また、別のケースもあります。
Bさん(30代・男性)は、帰国子女で英語がネイティブレベルの方でした。その英語力を活かして起業しようと考えましたが、最初は英語の先生として活動を始めましたが、いまいちモチベーションが上がらず、結局は事業を続けることができませんでした。
アメリカで育ったため英語のスキルがあるというだけで、英語の先生がやりたかったわけでは無いと言う感じですね。
この二つの事例に共通するのは、「スキル」を出発点にしてしまったということ。確かに、スキルは大切な武器になります。でも、それは目的ではありません。
例えば、こんな質問を投げかけてみるとどうでしょう:
- プログラミングスキルで、どんな人の、どんな問題を解決したいですか?
- 英語力を通じて、誰にどんな価値を届けたいですか?
- それを実現することで、世の中はどう変わりますか?
マーケティングやスキルは「どうやって」を解決する手段であって、「なぜそれをするのか」という根本的な問いへの答えにはならないのです。
本当のWhyを見つけるためのワークシート
以下の質問に、じっくり時間をかけて答えてみてください:
- あなたは何を変えたいですか?
- なぜそれを変えたいのですか?
- それを実現することで、誰がどう幸せになりますか?
- その変化は、どんな世界を作ることにつながりますか?
- なぜ、あなたがその変化を起こす必要があるのですか?
このワークシートは、僕がマーケティングを考える時に実際に使用しているものを簡略化したものです。相談者の方々と一緒にこれらの質問に向き合う中で、多くの気づきが生まれています。
マーケティングの本質を理解する
実は、本当の意味でのマーケティングは、「Why」が明確になってからしか始まりません。
春日井市の実例をご紹介させてください。
古民家を改装した古本屋「かえりみち」は、一般的な本屋さんとは一味違います。店主は本を「売る」のではなく、一人一人のお客様に「贈る」ように本を選んでいます。
お客様の希望を丁寧に聞き、あれこれと思案しながら本を選び、そこに手書きのお便りを添えて送る。その手紙には、作品の紹介だけでなく、なぜこの本を選んだのか、どんな想いを込めたのか、といったエピソードも綴られています。
この丁寧な営みが多くの人の心を掴み、NHKでも特集される人気店となりました。
なぜ、このような独特なスタイルが人々の心を引きつけるのでしょうか。
それは、おそらく店主の「Why」が色濃く反映されているからです。「本との素敵な出会いを届けたい」「一冊の本が誰かの人生を少し豊かにできたら」という想いが、本の選び方や手紙の一言一言に込められています。
この事例が教えてくれるのは、マーケティングは決して手法や戦術から始まるものではないということ。お客様に何を届けたいのか、どんな体験を提供したいのか。その想いが明確であれば、おのずとそれを実現する方法も見えてくるのです。
持続可能なビジネスを作るために
Room8での相談経験から、「Why」が明確な事業には、いくつかの特徴があることに気づきました:
- 困難に直面しても諦めにくい
- 顧客との深い共感が生まれやすい
- 長期的な視点での判断ができる
- 自分を含め従業員のモチベーションが維持しやすい
実際、明確な目的を持って始めた事業は、そうでない事業と比べて3年後の継続率が格段に高いことを、相談者の方々の追跡調査から実感しています。
まとめ:あなたの「Why」を見つけよう
マーケティングの技術を学ぶ前に、まずは自分の「Why」と向き合ってみませんか?
Room8では、起業準備中の方や事業の方向性に悩む経営者の方々と一緒に、この「Why」を見つける作業をしています。一人で考えるのが難しい時は、ぜひ気軽に相談にいらしてください。
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