こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!今日は、マーケティングの基礎についてお話しします。
昨日、事業の「Why(なぜ)」の重要性について記事を書いたところ、予想以上の反響をいただきました。多くの起業家の方々が同じような課題を抱えていることを実感し、この内容をさらに掘り下げていくことにしました。
そこで今日から、「マーケティングの本質」をテーマにシリーズでお届けしていきます。初回となる今日は、多くの起業家が陥りがちな「マーケティングの落とし穴」について、具体的な事例を交えながら掘り下げていきたいと思います。
マーケティングの基本を知っているのに成果が出ない理由
中小企業庁の2023年版中小企業白書によると、日本における起業後5年の企業生存率は80.7%です。
ちなみに2006年のデータだと、35%ぐらいでした。
廃業率が著しく減少して化のように見えますが、これは「生存」しているだけであって、必ずしも事業が成長している訳ではありません。
2006年頃より、ネットが本格的に普及してネットを使った起業が増えたことが1つの要因だとされています。
ネットを使った起業は、固定費など掛からないため、売上が少なくとも「生存」は可能だと・・・
つまり、成功している人が増えたと言う訳では無いです。
先日、春日井市で相談を受けたケースをご紹介します。
Cさん(40代・男性)は、20年以上システムエンジニアとして働いてきた方です。独立してIT企業を立ち上げ、以下のような「王道」のマーケティング施策を実施していました:
- 充実したホームページの制作
- SEO対策の実施
- ターゲット層向けのSNS発信
- オンライン広告の出稿
- 技術ブログの定期更新
「これらをやれば、きっと上手くいくはず」
確かに、これらのマーケティング施策は、完璧に実施できれば確実に成果が出るはずの王道と言えます。実際、多くの成功企業がこれらを実践して成果を上げています。
しかし、ここに落とし穴があります。Whyが明確でないと:
- ホームページは作ったものの、更新が滞る
- マーケティングの知識だけで実践が追いつかない
- SNSは「とりあえず」の投稿になりがち
- 広告は出稿するものの、効果測定と改善ができない
- ブログは書き始めても、継続できない
つまり、「やるべきこと」は分かっているのに、実際には中途半端な実施に終わってしまうのです。
なぜこうなるのでしょうか?
それは「Why」が明確でないと:
そして何より、継続するモチベーションが保てない
- 何を書けばいいのか分からない
- 誰に向けて発信すればいいのか迷う
- コンテンツの優先順位が付けられない
- 施策の効果を測る指標が定まらない
でも、半年経っても思うような成果が出ません。「やるべきことは全部やっているのに…」という彼の言葉が印象的でした。
春日井での起業相談から見えてきた「How優先思考」の3つの落とし穴
実は、Cさんのケースは特殊ではありません。Room8での起業相談事例から、「How優先思考」には以下のような典型的な落とし穴があることが分かってきました:
1. 形だけのマーケティング模倣に終わる
- 「真似している」つもりが、表面的な部分だけを見ている
- 実際の成功例の深い部分は理解できていない
- 結果、中途半端な模倣に終わる
実例: ある起業家は、人気YouTuberのチャンネルを参考にしようとしました。 「サムネイルはこんな感じ」 「冒頭で掴みが必要」 「10分程度の長さにする」
表面的なポイントは押さえたつもりでしたが、実は:
- なぜその構成なのか
- どうやって視聴者の興味を研究しているのか
- どんな試行錯誤を重ねているのか といった本質的な部分は全く理解できていませんでした。
実は、成功しているYouTuberは:
- 視聴者データを細かく分析
- 毎回の動画で仮説と検証を繰り返す
- 視聴者との対話から次のコンテンツを生み出す といった地道な努力を重ねています。
これらを完璧に実践できれば、実際に成果は出るはずです。しかし、多くの場合、表面的な「真似」で終わってしまうのです。
2. 場当たり的なマーケティング施策の積み重ね
- 新しい手法を次々と試す
- 各施策の繋がりが希薄
- 一貫したメッセージが届かない
実例:
Dさん(30代・女性)のケース。Instagram、Twitter、Facebook…と次々にプラットフォームを増やしていきました。どのプラットフォームでも「それなりに」の発信ができていましたが、肝心の「自分は何を伝えたいのか」が不明確なため、ランチを投稿したり、立ち寄ったキレイな景色を投稿したり、フォロワーの心を掴むことができませんでした。
3. マーケティング数値目標が独り歩きする
- フォロワー数や投稿数が目的化
- 本質的な価値の提供が後回しに
- 長期的な信頼関係が構築できない
起業家のためのマーケティング戦略:突破口は「逆算」にあり
中小企業庁のデータが示すように、日本の起業5年後の生存率は80.7%と高い水準にありますが、本当の成功は単なる「生存」ではありません。事業の成長と発展には、明確な目的意識が不可欠です。
ここで、先ほどのCさんの話に戻りましょう。
彼との対話を続ける中で、ある重要な気づきがありました。「システムエンジニアとして働く中で、最もやりがいを感じた瞬間は?」という質問に対する彼の答えが、すべてを変えたのです。
「学生時代からゲームが好きで、プログラミングも最初はゲーム作りから入ったんです。でも就職したら『仕事にゲームは関係ない』って感じで。ある時、経理システムの画面作ってて、思わずRPGみたいなインターフェースにしちゃったんですよ。『これダメだろうな』って思ってたら、使ってる人から『作業がゲームみたいで楽しい!』って。そこで気づいたんです。仕事も本当は、もっと楽しくていいんじゃないかって」
この一言から、彼の本当の「Why」が見えてきました:「好きなことと仕事を、無理矢理分ける必要なんてない。仕事ってもっと自由でいい」
成功する起業家のマーケティング事例
この発見を機に、彼のマーケティング施策は大きく変わりました:
- ブログは技術の話だけでなく、「こんな”楽しい”システムを作ってみました」といった開発ストーリーを紹介
- SNSでは、真面目な技術解説は最小限に。代わりに「今日のちょっと面白い機能」や「お客様の思わぬ使い方」など、遊び心のある投稿を
- セミナーも堅苦しい内容から「仕事を楽しくするシステムの作り方」といったテーマに
特に反響が大きかったのは、「システムに隠された○○な仕掛け」というブログシリーズです。技術的な説明の中に、ゲームのイースターエッグのような要素を織り込んで紹介したところ、「こんな会社なら一緒に仕事してみたい」という声が増えていきました。
春日井で起業を目指す方へ:効果的なマーケティングの始め方
昨日お伝えした「Why」の重要性。今日の事例からも、改めてその本質が見えてきたのではないでしょうか。
大切なのは、あなたらしさを素直に表現すること。「こうあるべき」という固定観念にとらわれすぎると、かえって魅力が伝わりにくくなります。
あなたの事業やマーケティング施策は、本当にあなたらしいものになっていますか?
もし「正しい」はずの施策が成果に結びついていないと感じるなら、それは本来の自分を抑え込んでしまっているのかもしれません。
次回予告:マーケティング戦略の具体的な実践方法
明日は、「Why」を見つけた後の「具体的な行動計画への落とし込み方」についてお話ししていきます。皆さんの事業の「Why」探しのお手伝いができれば幸いです。
【相談予約はこちらから】 Room8お問い合わせ
春日井から、本質的な価値を提供する事業を、一緒に作っていきましょう!