小さな会社の価値の高め方:ブランド戦略で実現する価格競争からの脱却 【ランチェスター戦略 #14】

こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!今日はランチェスター戦略を使ってブランド戦略を構築するお話ししたいと思います。

「大手企業と同じような商品やサービスを提供しているのですが、なかなか選んでもらえません。価格で勝負するしかないのでしょうか?」

「商品の質には自信があるのに、価格の話になるとすぐに値引きを求められてしまいます…」

このような悩みを抱えている経営者の方は多いのではないでしょうか?実は、この課題を解決する効果的な方法があります。それが、ランチェスター戦略とブランド戦略を組み合わせたアプローチなんです。

今日は、この戦略で成功を収めた企業の実例を見ながら、私たち小規模事業者がどのようにブランド価値を高められるのか、具体的にお話ししていきたいと思います。

価格競争から抜け出した企業の物語

高知県に、とても興味深い企業があります。アイスクリームメーカーの久保田食品です。アイスクリーム業界は大手メーカーによる激しい価格競争が当たり前。多くの中小メーカーが姿を消していく中、久保田食品は違う道を選びました。

「手作り」「本物」にこだわり続け、あえて大手との価格競争を避けたのです。その結果、彼らの看板商品「超完熟あいすくりん」は、全国の百貨店で取り扱われる人気商品となりました。

では、なぜ彼らはこれほどの成功を収めることができたのでしょうか?

小さな会社の「強み」を見つける

久保田食品の成功の鍵は、自社の強みを明確に理解し、それを最大限に活かしたことにあります。彼らは大手企業には真似できない「こだわり」を持っていました。高知県産の果物を使用し、生クリームは北海道産を厳選。伝統的な手作り製法を守り続け、職人の技術を大切にしてきました。

この「こだわり」は、決して特別なものではありません。皆さんの会社にも、必ず同じような「強み」があるはずです。

例えば、私の地元春日井市にある小さなパン屋さんの話をさせてください。この店舗は大手チェーン店の近くにありながら、繁盛しています。なぜでしょうか?

それは、お客様一人ひとりの好みを覚え、名前で呼びかけ、常連さんの好きな焼き加減でパンを焼いているからです。大手チェーン店には決してできない、きめ細かなサービスを提供しているんです。

ブランド戦略をした小規模店舗

ブランド価値を高める具体的な方法

では、私たち小規模事業者は、どのようにしてブランド価値を高めていけばよいのでしょうか?

お客様との関係性を大切にする

小規模事業者の最大の強みは、お客様との距離の近さです。例えば、東京の下町で評判の美容室があります。ここのオーナーは、お客様一人ひとりのヘアスタイルの履歴はもちろん、仕事の様子や家族構成まで把握しています。「次の就職面接に向けて」「娘さんの結婚式に向けて」など、お客様の人生の節目に寄り添ったサービスを提供しているんです。

こだわりを「物語」にする

私たちの「こだわり」は、そのまま伝えても、なかなか価値として伝わりません。大切なのは、なぜそのこだわりを持っているのか、その物語を伝えることです。

久保田食品が大切にしているのは、素材の物語です。高知県産の果物を使う理由、北海道の生クリームにこだわる理由、それぞれに深い思いがあります。この物語があるからこそ、価格以上の価値を感じてもらえるんです。

デジタルツールを味方につける

現代では、SNSが小規模事業者の強い味方になります。例えば、お菓子屋さんがInstagramで商品の写真を投稿すると、その商品にまつわるストーリーや、作り手の想いを一緒に伝えることができます。

YouTube動画で製造過程を公開している工務店さんもいます。職人の丁寧な仕事ぶりを見ることで、お客様は価格以上の価値を見出してくれるようになりました。

価格競争に陥らないために

ここで重要なのは、一度確立したブランド価値を守り続けることです。よくある失敗は、売上が伸び悩んだ時に安易な値引きを始めてしまうこと。これは避けなければいけません。

私の知り合いの文具店は、一時期の売上低下に焦って大幅値引きセールを始めてしまいました。その結果、常連のお客様からの信頼を失ってしまったのです。

その後、この店舗は方針を改め、「文具選びのコンサルティング」という独自のサービスを始めました。お客様の使用シーンに合わせて最適な文具を提案するサービスです。その結果、売上は以前以上に回復したそうです。

まとめ:小規模事業者だからこそできること

ブランド価値を高めることは、決して大企業だけのものではありません。むしろ、小規模事業者だからこそできることがたくさんあります。

重要なのは以下の3つです:

  1. 自社ならではの強みを見つけること
  2. その強みを物語として伝えること
  3. お客様との関係性を大切にすること

価格競争に巻き込まれないためには、私たちにしかできない価値を作り続けることが大切です。それは決して難しいことではありません。すでに皆さんが日々実践していることの中に、その種はあるはずです。

今日お話しした内容を参考に、ぜひ自社ならではのブランド価値を見つけ、育てていってください。

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この記事を書いた人

コワーキングスペース 代表 鶴田 賢太

こんにちは、「雑種系」起業アドバイザーの鶴田です。20年以上、様々な分野を渡り歩いてきた経験を活かし、今は春日井市でコワーキングスペース「Room8」を運営しながら、起業家の皆さんのサポートをしています。

私の旅は大学時代に取得した日商簿記1級から始まりました。その後、富士通グループでSEとして6年間働き、ITの世界で幅広い知識を得ました。Windowsから Mac、Linuxまで、様々なシステムを扱えるようになりました。

2014年、「人と人とが繋がる場所を作りたい」という思いから、Room8を立ち上げました。立ち上げから約2年後の2016年には、その取り組みが中日新聞に取り上げられ、地域のケーブルテレビにも何度か出演させていただきました。

ここRoom8では、簿記の知識を活かした財務相談や、IT時代の経験を生かしたパソコン相談など、これまで積み重ねてきた「バラバラな」経験が不思議と一つにつながり始めたんです。

起業家の皆さんの中には、パソコンに詳しくない方も多いんです。基本的な操作方法から便利な使い方、効率的なツールの紹介まで、幅広くサポートしています。実は、私自身がパソコン好きだったことがきっかけでIT業界に転身したんですよ。今でもITへの情熱は冷めず、最新のAI技術も積極的に活用しています。

Webサイト制作事業も手がけ、100社以上のサイトを作成してきました。SEO対策にも力を入れ、以前は「名古屋 コワーキングスペース」で検索1位を獲得したこともあります。数年前には、あるアプリのマーケティングで6ヶ月で2万PVを達成するなど、デジタルマーケティングの分野でも成果を上げてきました。

補助金申請のサポートも行っています。小規模事業者持続化補助金は自身で3回採択されただけでなく、Room8会員のサポートでも15回以上の採択実績があります。以前はIT補助金のIT導入支援事業者としても登録していました。

FP技能検定2級も持っているので、起業家の皆さんの財務面でのアドバイスもできます。「簿記の知識」「ITスキル」「FPの知識」「補助金申請のノウハウ」。かつては「バラバラ」と言われたこれらの組み合わせが、今では起業家の皆さんのサポートに大いに役立っています。

これからも地域に根ざしながら、新しいチャレンジを続けていきたいと思っています。最近のマイブームは人工知能(AI)、特に生成AIです。これも将来、きっと皆さんのお役に立てる日が来るはず。そんな期待を胸に、日々学び続けています。

このブログでは、財務、IT、マーケティング、補助金申請のコツ、そしてAIまで、幅広いテーマについて、私の経験や気づきをお伝えしていきます。「バラバラ」と思えた経験が、実は大きな強みになる。そんな可能性を、皆さんと一緒に探っていけたら嬉しいです。

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