こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!
起業や事業展開において、意外と見落とされがちな「エゴ」の問題について、今日はお話ししたいと思います。
僕のコワーキングスペースには、様々な事業者の方が集まってきます。その中で気づいたのは、成功から遠ざかってしまう人には、ある共通点があるということ。それは「強すぎるエゴ」なんです。
「これだけ努力しているんだから、この価格は当然だ」 「従業員が言うことを聞かないのが悪い」 「月収100万円を目指す!」
こんな言葉をよく耳にします。でも、実はこれらの考え方には大きな落とし穴が潜んでいます。エゴが強いと、事業の本質である「顧客価値の提供」から目が離れてしまい、さらには従業員との良好な関係も築けなくなってしまうんです。
この記事では、なぜエゴが事業の成功を妨げるのか、そしてどうすれば本当の意味での事業の成功に近づけるのか、具体例を交えながらお伝えしていきます。
あなたの事業は、もしかしたらエゴに支配されていませんか?一緒に考えていきましょう。
エゴが引き起こす2つの大きな問題
事業におけるエゴの問題は、主に「顧客との関係性」と「従業員との関係性」という2つの重要な関係性を壊してしまいます。
顧客との関係性の破綻
「このサービスの開発に1年かかったんだから、この価格は妥当だ」 「これだけ手間をかけているんだから、もっと評価されるべきだ」
こんな考えをお持ちの方、実は多いんです。先日も、あるWeb制作会社の方が、「これだけ時間をかけて作っているのに、お客さんは安すぎると言う」と悩んでいました。
でも、考えてみてください。お客様にとって、あなたがどれだけ苦労したかは関係ありません。お客様が見ているのは、「支払う金額」に対して「得られる価値」が見合っているかどうか、ただそれだけなんです。
従業員との関係性の破綻
「なぜ言われた通りにできない?」 「もっと売上を上げるべきだ」 「自分の若い頃はもっと頑張った」
これは従業員マネジメントでよく聞く言葉です。確かに短期的には、プレッシャーをかけることで数字が上がることもあります。
しかし、そのやり方には大きな代償が伴います。先日、あるIT企業の社長さんが「毎年新卒を採用しているのに、すぐ辞めてしまう」と相談に来られました。話を聞いてみると、「結果を出せ」というプレッシャーばかりで、従業員が成長できる環境が整っていなかったのです。
実は、従業員のマネジメントで最も重要なのは、「従業員が気持ちよく働ける環境を作る」ということ。これは単なる福利厚生の話ではありません。従業員が前向きに仕事に取り組める環境があってこそ、持続的な成長が可能になるのです。
エゴの強いマネジメントは、一時的な成果は出せるかもしれません。しかし、人材の定着率は下がり、常に新しい人材の採用と育成に追われることになります。これでは、組織としての知識や経験が蓄積されず、本当の意味での成長は望めません。
エゴが事業を失敗に導く理由
では、なぜエゴは事業を失敗に導いてしまうのでしょうか?その根本的な理由を、市場の視点と組織の視点から見ていきましょう。
市場原理の無視
「月商100万円達成!」 「経営者としての成功を手に入れる!」 「業界でNo.1の企業になる!」
こういった目標を掲げること自体は悪くありません。でも、この目標のために「何を提供するか」という視点が欠けていることが多いのです。
市場は極めてシンプルです。顧客は「支払う金額」と「得られる価値」を天秤にかけているだけ。あなたがどれだけ苦労したか、どれだけ時間をかけたかは、申し訳ありませんが、市場にとってはどうでもいいことなのです。
先日、あるお菓子屋さんの相談を受けました。「こだわりの材料を使って手間暇かけて作っているのに、売れない」とのこと。でも、お客様にとって大切なのは「美味しいか」「価格は適正か」という点。製造過程でのこだわりは、それが味や価値に反映されていなければ、残念ながら評価されないのです。
組織力の低下
エゴが強いと、「自分の考えが正しい」という思い込みが強くなります。その結果、以下のような問題が発生します:
- 従業員の意見を軽視する
- 短期的な成果を求めすぎる
- 失敗を許容しない環境を作ってしまう
これらは全て、組織の成長を妨げる要因となります。
先日、ある IT 企業の社長さんはこう話していました。「優秀な人材を採用できても、半年も経たずに辞めてしまう。その度に新しい人を採用して育成するのに、膨大なコストがかかっている」と。
なぜそうなるのか?それは「自分の若い頃はもっと頑張った」という考えで、無理な要求を続けていたからです。確かに一時的には結果が出るかもしれません。しかし、長期的に見ると:
- 従業員の定着率が下がる
- チーム内の知識やノウハウが蓄積されない
- 採用・育成コストが増大する
結果として、組織としての成長が止まってしまうのです。
エゴを抑えて成功に近づくためには
事業の成功には、もちろん収益は不可欠です。経営が成り立たなければ、どんなに素晴らしいサービスも継続できません。しかし、その前に明確にすべきことがあります。
経営理念・ビジョンの重要性
事業の原点は「なぜこの事業をやるのか」という経営理念です。この理念があることで、自分たちが「どんな価値」を「誰に」提供したいのかが明確になります。
例えば:
- 「感動的な料理体験の提供」を目指すレストラン
- 「早く確実な配送」を追求する運送会社
- 「コストパフォーマンスの高い製品提供」を掲げるメーカー
このように、経営理念が異なれば、同じ業界でも全く違うアプローチになります。これは決して「より良い・悪い」の問題ではありません。それぞれのお客様のニーズに応える、異なる価値提供なのです。
顧客価値(ベネフィット)の明確化
経営理念に基づいて、次に考えるべきは「お客様が得られる具体的な価値」です。
例えば、コワーキングスペースの運営では:
- 「静かな環境で集中したい」というニーズ
- 「コミュニティとの繋がりが欲しい」というニーズ
- 「低コストでオフィス機能を使いたい」というニーズ
これらの異なるニーズに対して、自分たちの経営理念に基づいて「どのニーズに応えるのか」を決めていきます。全てのニーズに応えようとするのではなく、自分たちの理念に合ったニーズに focus することが重要です。
ターゲティングとペルソナの設定
経営理念と提供価値が明確になれば、おのずと「誰のために」というターゲットも見えてきます。
- どんな課題を持っている人か
- どんな価値を求めている人か
- どんなライフスタイルの人か
これらを具体的にペルソナとして設定することで、提供するサービスの方向性が定まります。
具体的なアクションプラン
- 経営理念の明確化と共有
- なぜこの事業をやるのか
- どんな価値を提供したいのか
- それを全従業員と共有
- ターゲット顧客の理解
- ペルソナの設定
- 顧客ヒアリング
- フィードバックの収集・分析
- サービスの最適化
- 経営理念に基づくサービス設計
- 顧客ニーズとの整合性確認
- 継続的な改善
このように、まず経営理念を明確にし、そこから具体的な価値提供、ターゲット設定へと展開していくことで、エゴではなく本質的な価値提供に focus できるのです。
まとめ
正直に申し上げると、僕自身もエゴと日々戦っています。「もっと売上を上げたい」「もっと評価されたい」という思いが頭をもたげることは少なくありません。
おそらく、エゴを完全になくすことは難しいでしょう。それは起業家として、ある程度の野心や向上心を持つことは自然なことだからです。
しかし、大切なのは、そのエゴに支配されないことです。
事業の本質は、
- お客様に価値を提供すること
- 従業員が活き活きと働ける環境を作ること
- 経営理念に基づいた判断をすること
にあります。
迷ったとき、悩んだときは、ぜひ立ち止まって考えてみてください。 「今の判断は、お客様のためになっているだろうか?」 「従業員の成長につながっているだろうか?」 「自分たちの経営理念に沿っているだろうか?」
と。
利益を追求することは、事業を継続するために必要不可欠です。しかし、その利益は、お客様や従業員への価値提供の結果としてついてくるものではないでしょうか。
この記事を読んでくださったあなたも、時にはエゴと戦うことがあるかもしれません。そんなとき、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
私たちも、これからも学びと成長を続けていきたいと思います。