落語「野ざらし」を観て考えさせられた現代のサラリーマン像

room8がある春日井市に「国宝」光臨。

じゃん。こちら!柳家小三治師匠の独演会を堪能できる機会に恵まれました。

「師匠」って、お前ごときがなれなれしいなんてお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、落語では真打ちの方を師匠と呼ぶという不文律があるのです、だからいいのです…なんてビビる大木5へぇレベルのトリビアをちりばめつつ、ちょっと考えさせられたことを、わたくしと同じく起業予備軍(サラリーマン)の方々と共有したいとおこがましくも思っております。

あ、ちなみにこの日の演目は、

  • 柳家三之助師匠「転失気(てんしき)」
  • 柳家小三治師匠「野ざらし」「粗忽長屋(そこつながや)」

の3本。“滑稽噺の柳家”(受け売り)らしい、わたくしのような落語ビギナーがイメージするザ・落語という感じの笑い色の強い定番もの。あらためて観ても、フリと回収が実に見事でずーっとニヤニヤしておりました。今的に言うと「カメラを止めるな!」のような気持ち良さがあります。よろしければ、YouTube以外の方法でぜひお楽しみください。(柳家小三治師匠が、あれを見られても一銭も入ってこないと嘆いておられました…)

サラリーマンは滑稽

「野ざらし」の冒頭で、こんなやりとりがあります。道楽についてのマクラから釣りの話しになるのですが、その中で

与太「釣りというと、後ろから見ている人。バカなやつがいるんですよ」

先生「そんなやつはいくらでもいるよ」

与太「いやそうじゃない。3時間も見ているやつがいたんですよ。くれるワケじゃないのに」

先生「3時間?そんな奴はいないよ」

与太「いるの。だって橋の上からずっと見てたんだから」

で、ひと笑い起きるのですが、わたくしは笑いながら、笑えないと考えてしまいました。というのは

A.釣りをしている人=起業している人(自分で稼ぐ手段を持つ人)

B.後ろから見ている人=起業したいのに、していないサラリーマン

C.橋の上から見ている人=危機感のないサラリーマン※

※大企業の安泰サラリーマン、公務員はのぞく

という図式が思い浮かび、Bのごとく起業家を後ろから見ている自分の姿がありありと思い浮かんだのです。

大物をゲットしたいくせに、釣り竿を持っていない、自分の滑稽な姿が。しかも、待機時間は3時間どころじゃない!年単位!!

いまの日本のサラリーマンを「ゆでがえる」に例える方もいらっしゃいますが、まさしくそうで、いまから10年20年後の仕事は今存在していない仕事が60%という説がある以上、何も考えていない、危機感がまったくないCパターンもまた滑稽ですよね。

最高の“釣り竿”を考えるより、まず釣り糸を垂らそう

ちなみに滑稽の意味ですが

1.期せずして、その場に居る人が笑うような事を言ったりしたりする様子

2.まともな言動ではなくて、人の失笑の対象になる様子

(新明解国語辞典  第四版より)

とあります。

与太「60歳を過ぎた時に仕事があるか分からないのに、77歳まで住宅ローンを組んでるバカなやつがいるんですよ」

先生「そんなやついないよ」

わたし「それ、おれです」

これって、十分に2の解釈に当てはまりますよね。冷静に考えると、まともな言動ではない(笑)。…いや笑っている場合じゃない。

御歳78歳の柳家小三治師匠ならローンを返せそうだな、と舞台を眺めながらしみじみ思ってしまいました。自分があの佇まいになった時に、まだローンを支払っているのかと…。

これは、マズイ。いまの手持ちのカードで、釣りエサになるものはないか?

ということで、いまはこのブログを書いています。

通行人「そこ釣れる?」

与太「垂らしているんですが、なかなか」

通行人「でしょうねぇ、昨日の雨でできた水たまりですからねぇ」

という「野ざらし」パターンもありますが、ただ後ろから見ているよりマシかと思いながら。

少なくとも、Room8は水たまりではありませんし、魚の影は見えてる。

この記事を書いた人

友人屋

運だけを頼りにニッチを歩み、不惑の年へ突入。姓名判断の「大器晩成」のワードを信じ〝素振りを続けドラフトを待つ〟天性のオプティミスト。
デブ歴=年齢だったが、42歳で20kgのダイエットに成功。その方法を伝えるためブログサイトを展開している。